間違いだらけのネットワーク作り(129) 2000/05/20
「H.323とSIPその2」

今週木曜日、情報化研究会の古い会員であるSさんが7年ぶりにロンドンから帰ったので古いメンバーで帰朝歓迎会をしました。 Sさんには1985年にAI(Artificial Intelligence)の話をしていただいて以来の会員です。 金融分野の仕事をされているのですが、やはり「金」にまつわる話題は盛り上がりますね。

今年の夏のイベントは何処でやろうという相談もしました。 候補として沖縄も上がっていましたが、私が行きたくなくなったので×。 理由は簡単。 忙しい人が多いので片道3時間もかかるところへ1泊で行くのは時間がもったいない。 温泉がない(あると聞いたことがない)。

残った候補地は高知、松山、金沢、京都。  松山は既に2回行っており、95年には焼き物教室、98年は俳句教室をしました。 何回行っても、道後温泉本館や路面電車に象徴される古びたhospitalityが魅力です。 さあ、何処へ行って何をしようか? 企画そのものが楽しいものです。

6月2日、日本テクノセンターの「VoIP/FR/ATMセミナー」が目前。 「VoIPの現在の到達点」について受講者の方と情報交換できることを期待しています。

H.323とSIPその2

SIP(Session Initiation Protocol:RFC2543)については(120)「H.323からSIPへ」2000/03/18でも取り上げました。 そろそろ真剣に取り組まねばならないので、もう少し具体的に、かつ「文学的」に理解できるドキュメントがないか探したらNetworkMagazine誌で簡単に見つかりました。 要点を紹介すると次のとおりです。

H.323はVoIPの標準として広く使われていますが、大きく2つの問題があります。 呼接続時間が長いこと、拡張性(Scalability)に乏しいことです。 これを解決するのがSIP。

先ずは呼接続時間の問題です。  H.323の呼接続シーケンスを単純化したのが下図です。

発呼するクライアントはゲートキーパーにアドレスを照会(1)、つぎにH.225でセションを確立(2)、その後H.245でクライアント相互の通信機能をネゴシエーション。 このようにステップを踏んで呼接続するためPSTNに比べると格段に接続時間が長くります(ネットワークにもよるが最大8秒程度)。

対してSIPの呼接続シーケンスは次図のとおり。

発呼するクライアントはinvite requestパケットをSIPサーバーに送出します。 リクエスト・パケットには被呼側がセションに加わるために必要な情報、つまりメディアタイプ、フォーマット、宛先などがすべて含まれています。 セション確立と通信機能のネゴが1つの手続きで出来るということです。 SIPサ−バーは被呼ユーザのロケーションを発見し、リクエストを送出。 被呼ユーザは呼を受け付け、指定された機能でinvitationに応答、呼が確立します。 接続時間はネットワークにも依存するが100ミリ秒程度。

SIPは単純な呼接続だけでなく複数のクライアントのベルを同時に鳴らせたり(fork an incoming call:フォークの形=1つの呼が複数に分かれるイメージ)、異なるメディアでのレスポンス、たとえばクライアントからの呼接続要求に対してWEB−IRV(Interactive Voice Responce)のページで受付け可能な部門やユーザをリストで返す、といったことが出来ます。
 

H.323の2つめの問題、拡張性の乏しさにはプロトコルとアドレッシングの2つの原因があります。 H.323が多くのプロトコルの集まりで重いのに対し、SIPはシンプルです。 そのため応用やSIP自体の拡張も容易です。 SIPの拡張としては電話サービスの様々なパラメータをSIPに対応づけたり、セキュリティやQoSをネゴシエーションする機能が検討されています。

独立した番号体系を使うH.323のアドレッシングはキャリアの電話網との相互接続を複雑なものにします。 対してSIPのアドレッシングは独立した体系を作るのではなく、既存のDNSを使います。 各ユーザは階層的なURLで識別され、SIP:user@company.comのように表されます。  H.323と比較してキャリアの回線交換網との接続が容易です。

SIPの問題はまだ製品化や普及が進んでないこと。 しかし、この状況はすぐ変わるだろう。 3Com、CISCO、はじめ多くのベンダーがSIPのサポートに取り組んでいる。
 

*さて、SIPを「文学的に」理解し、分かった気になれたでしょうか? ものたりない方はRFCを読んでください。 間違いを発見した方は教えてください。
ftp://ftp.isi.edu/in-notes/rfc2543.txt/

*SIPの記事を読んで感じるのは、レガシーな電話機、PC、WEBサーバー、携帯、等々が自由にコミュニケートできる時代がすぐそこなんだな、ということです。

*それはそうと、今、目の前のネットワークの企画・設計でどう考えておけばいいのでしょう?
 
 
 
 

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