間違いだらけのネットワーク作り(128) 2000/05/13
「TDM更改の考え方(2)」

5月12日に日産がネットワークを全面的に日本テレコムに委託するという報道がありました。 皆さん、どう受け取ったでしょう? 私の感想。 「たった3割コストを削減するために選択の自由を放棄してキャリアに支配されるのか。 ツマランなあ。」

拙著「企業内データ・音声統合網の構築技法」のまえがき(ホームページからリンクしています)に私のネットワーク設計のポリシーは明確に書いてあります。 ネットワーク技術や回線サービスが激しく変化し、次々と価格破壊が起こっている現在、ネットワークは機器にしても回線サービスにしても、いつでもリプレースできる「選択の自由」が必要、 特定の製品や技術しか選択できないのはそのベンダーの「奴隷」になることだ、という趣旨のことが書いています。

選択の自由を確保するためにユーザ側に膨大な数の人材が必要でしょうか?  いいえ。 考え、企画し、ベンダーをコントロールできるだけの少数精鋭人材がいれば十分です。 アウトソーシングの活用は大賛成です。 しかし、企画することも、選択する自由も放棄して「身も心も」アウトソースするのは反対です。 現行のコストを3割程度削減するのはアウトソーシングを利用するまでもなく簡単なことです。 あと1〜2年以内にコストを5割以上削減することも容易になるでしょう。 そのときに特定キャリアに支配されていて、ベストの選択ができるのでしょうか? 大いに疑問です。 キャリアにすれば大きな網でユーザをしばってしまえば安心でしょうが。

企業でネットワークの仕事をしている方、企画することも、選択する自由も放棄した瞬間、自分の会社内での存在価値がどうなるか考えてください。

TDM更改の考え方(2)

先週の記事に対して会員のKさん(社内でVoIP同好会を作っている方)からメールが来ました。 今週の記事は、「TDMの更改を検討しているHさんからのメール」(先週の内容を再掲)→「Kさんのコメント」(CiscoWaveへの辛口の感想もあります)→「私がHさんと会話した結果」という形でまとめます。

TDMの更改を検討しているHさんからのメール
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 担当業務として「社内ネットワークの見直し」を命じられております。 弊社も7年前に導入したTDMがリース更新時期を迎え、新たなネットワーク網の再構築が、喫緊の課題となっております。

 全く不案内な分野でありますが、貴著作2冊「企業ネットワークの新構築技法」 「企業内 データ・音声統合網の構築技法」 を拝読しながら業務を進めております。
つきましては、貴方様の著書やHPは、貴重な情報源であり、是非、入会を許可いただきますようお願いします。

<弊社のネットワーク導入状況>

 弊社のネットワーク網は、音声、シリアル(ホスト系)データ、LANの3種類を統合して専用回線網を流しています。   拠点は4拠点です。  折りしも、社内グループウェアとインターネットの普及に伴い、IP化が急速に増大し、回線不足になっております。

 さらに、TDMの次期導入設備として代替設備の検討をしております。  5社見積りをしていますが、4社がATMの見積り、1社がフレームリレーです。

 通常であれば、ATM導入でしょうが、しばらくは様子見です。  現状のTDM設備を再リースして、1.5MのDR(ディジタル・リーチ)に増速し、対応予定です。
 その理由ですが、・・・・・(5つほど理由があげられていますが、さしさわりがあるので省略)
 
<今後の方策>
@ATM方式で、現行ネットワークを統合して、リプレースする。
A音声、シリアルデータとLAN回線を分けて(統合しない)、別回線にする。

ご多忙中のところ、大変恐縮ですが、アドバイス等をいただけたら、幸いです。  宜しくお願いします。
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Kさんからのメール
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松田さん
 

今回ついにJuniperのアーキテクチャまで記載されていて、Juniper Fanaticの私としては妙にうれしくなりました。  さて今回の内容は実に現実的なお話で、私自身身につまされて感じている話題でもあります。  「すべてルータで実現可能です」、「ルータネットワーク万能ですからという、WANはルータ+LANはLayer3 Switchで一番実績のあるメーカで組んでおけば間違いないですよ」という大間違いをしでかしてしまうケースが多いような気がします。

こういう提案ばかりでは正直NETWORK屋さんとしては腕があがりません。

もし、私ならばRFPをいただいたならば
 ・小型のATM SWITCHを第1案、
 ・再度TDMでの更改を第2案(最近いいTDMがないんですが、、、)
 ・やすかろうわるかろうのルーターでの第3案

としてみたい気もします。

今後土曜日の研究会で仮想のRFPにもとずいて提案内容を発表し会員同士の意見も聞いてみるのも面白いかなとふと感じました。 結構なまなましいので絶対極秘にする必用があるかもしれませんが。

PS CISCO WAVEでのVoIPのセミナーでは会員のIさんと偶然にも再度同席させて頂くことになってしまい ました。
   Iさんのコメント(先日このページに記載したIさんの感想)は結構好意的ですね、私はアンケートには苦言を多く記載させていただきました。 最大の理由は、発表全般がお客様の金と時間を頂いてく教えるという意志が私には感じられず、たとえていうなら学生さんの研究発表のレベルでしか私には思えなかったからです。

   内容自体も京都の研究会のほうが圧倒的に豊富でまとまりがありました。  しかし、これで2度とCISCOのセミナーには参加できなくなりそうな気がします。

以上

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さて、私はHさんと直接会話しました。 そして申し上げたアドバイスは「ネットワークより先にシステムの問題をかたづけるのが先です。 それが終わるまでネットワークの検討をしても無意味です。 その問題が片付いたらネットワークの検討をさせてください。」 

ネットワークの最大のユーザはその上で動く基幹システムです。 システムのあり方が変わる問題が残っているのに、ネットワークのあり方を決めることは不可です。 

しかし、ATMやフレームリレーを提案したベンダーは何を考えていたのでしょう? お客様がTDMの後継を提案しろといったから、何も周囲の事情を聞かず、言われるままに提案したのでしょうか?
 
 

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