間違いだらけのネットワーク作り(127) 2000/05/06
「TDM更改の考え方」

このゴールデンウィーク、好天に恵まれましたが家族で出かけたのは新宿のデパートくらいで、あとは何となく過ごしていました。 何となく、というくつろいだ気分で日経NETWORK創刊号の特集記事、「Webアクセスに強くなろう」と「LANスイッチの完全理解」を読みました。 創刊号は2週間以上前に届いていたのですがパラパラめくっただけで読む余裕がなかったのです。

期待どおりの内容でした。 日経NETWORK編集には情報化研究会の古いメンバー(仮にAさんとします)がいるのですが、Aさんが日経コミュニケーションの編集にいたとき、しょっちゅう文句を言ったのは、「分からない記事を書かないでよ」、ということでした。 とりわけAさんの書く記事は詳しくて(内容が深くて)読むのに骨が折れたのです。

日経NETWORKの記事は「根っこから分かる」というのをコンセプトにしているとのこと。 なるほど、という内容でした。 特に「LANスイッチの完全理解」は製品の写真にデータの流れを書きこむ、という面白い手法で、モノに触りながら教えられている感じでした。

欲を言えば、LANスイッチが何故ルータより処理速度が速くなるのか、もっとハッキリ分かる説明が欲しいなと思いました。 CISCOに代表される従来のルータとJuniperのようなスイッチング・ファブリックを持った新しいアーキテクチャのルータでは動作原理自体が違うのですが、その辺の理解もできる記事を別の機会に書いて欲しいと思います。

この雑誌は入門者向けに考えられたのでしょうが、私はマネージャーにも適していると思います。 私のようにモノに一切さわることがない人間が現場感覚=モノそのものの感覚に触れることができるからです。 ちなみに私はモノには触りませんが、現場にはよく顔を出します。 特にトラブってお客様に状況や対策を説明するのは私の重要な仕事なので、現場のことは知らない、という訳にいかないのです。

現場感覚を大切にし、根っこから分かる、土にまみれた大根のような記事を日経NETWORKには期待します。
 

TDM更改の考え方

TDMの更改を検討しているHさんから入会申し込みのメールが来ました。 さしさわりのある固有名詞を隠し、部分的に引用させていただきます。
以下、引用。
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 担当業務として「社内ネットワークの見直し」を命じられております。 弊社も7年前に導入したTDMがリース更新時期を迎え、新たなネットワーク網の再構築が、喫緊の課題となっております。

 全く不案内な分野でありますが、貴著作2冊「企業ネットワークの新構築技法」 「企業内 データ・音声統合網の構築技法」 を拝読しながら業務を進めております。
つきましては、貴方様の著書やHPは、貴重な情報源であり、是非、入会を許可いただきますようお願いします。

<弊社のネットワーク導入状況>

 弊社のネットワーク網は、音声、シリアル(ホスト系)データ、LANの3種類を統合して専用回線網を流しています。   拠点は4拠点です。  折りしも、社内グループウェアとインターネットの普及に伴い、IP化が急速に増大し、回線不足になっております。

 さらに、TDMの次期導入設備として代替設備の検討をしております。  5社見積りをしていますが、4社がATMの見積り、1社がフレームリレーです。

 通常であれば、ATM導入でしょうが、しばらくは様子見です。  現状のTDM設備を再リースして、1.5MのDR(ディジタル・リーチ)に増速し、対応予定です。
 その理由ですが、・・・・・(5つほど理由があげられていますが、さしさわりがあるので省略)
 
<今後の方策>
@ATM方式で、現行ネットワークを統合して、リプレースする。
A音声、シリアルデータとLAN回線を分けて(統合しない)、別回線にする。

ご多忙中のところ、大変恐縮ですが、アドバイス等をいただけたら、幸いです。  宜しくお願いします。
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*私の著書を2冊も購入していただきありがたいことです。 TDMからVoIPまでカバーしていますし、「企業内データ・音声統合網の構築技法」ではケーススタディとしてTDMを更改する企業を想定し、ATMorフレームリレーorIPで統合ネットワークを設計するプロセスと方法を解説しているので参考になると思います。 

*TDM更改の手段として4社がATM、1社がフレームリレーというのも面白いですね。 ルータで更改しましょう、といった冒険心のあるベンダーがいなかったのは幸いです。

*先ず、私もHさん同様、フレームリレーは除外します。 IPトラヒックの急増で必要帯域がどんどん増えていくのが明白なのに、フレームリレーではせいぜい数メガ程度までしか拡張できません。 また、大容量の回線としてはATM専用線のコストパフォーマンスが良いのはハッキリしており、ATMがサポートできないのはNGです。 フレームリレーを提案したベンダーは目先の安さ、HDLCなどのレガシー・データの扱いやすさからフレームリレーを提案したのでしょう。 

*ATMは拡張性や音声、シリアルデータのハンドリングも問題ない。 でも、高いし、VoIPが実績も少ないのに騒がれている。 今さらVoATMでいいのか・・・。 迷いますね。

*HさんがあげられているAの音声、シリアルデータとLAN回線を分けて別回線にする、というのも有力な選択肢です。 この場合、音声とシリアルはどう扱うのでしょう?

*メールの情報だけでは新しい代替案を考えたり、上記の代替案を評価するには不十分です。 しかし、Hさんのアプローチがすばらしいのは選択肢をたくさん考えようとしていることです。 ベンダーの提案を盲目的に受け入れない、簡単なことのようでなかなか出来ないことです。

*「この情報があれば代替案を絞れる」という欲しい情報が、私にははっきりしているのですが、ここには書けません。 個別にHさんと会話したいと思います。
 
 
 

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