間違いだらけのネットワーク作り(121) 2000/03/25
「VoIPの音質評価」

今週のニュースの中で面白かったのは、東京生命保険「平成11年わが家の無駄遣い」調査でパソコンが第一位になったというもの。(週間ニュースインデックス参照)  「インターネットは未来の必需品と無理して買ったが、今ではゲーム機」、 「主人が家で使うと購入したが、ゲームを少々。  年賀状を作成したのが救い」といったアンケートのコメントから受ける印象と、「インターネット人口2000万」などという報道から受ける印象のギャップの大きいこと。 家庭へのパソコンやインターネットの浸透にはまだまだ時間がかかりそうです。 

BtoCのビジネスをあてこんだデータセンタが雨後のたけのこのように(古い表現ですね)出来つつありますが、空家だらけになるのではないでしょうか? 「データセンタ」というものの定義もあいまいでアヤシイですし。 バブリーなコンセプトでキャリアやプロバイダーをたきつけて設備投資=機器購入を先行させ、あとは過当競争。 サーバやネットワークの機器ベンダーだけが儲かる、ということになるんじゃないでしょうか?

話しかわって、4月15日京都での土曜研究会は今週16人の方から申し込みがありました。 あと3週間ありますが、会場の制約(20名強)がありますので申し込みはお早めに。 先週も書きましたが、 テーマは「データ・音声統合網設計のポイント」(松田 1.5時間)、「VoIPインストールの実際と音質評価」(キャリア勤務Aさん 1.5時間)、「本音で語るVoIP、その他」(ディスカッション 1時間)です。 先週未定だったVoIPの講師も決まりました。 詳しくは会員ページをご覧下さい。

土曜研究会への参加申し込みメールの中で、すでにディスカションを始めているかのようなKさんとIさんのメールが面白いのでご紹介します。例によって*に続くのは私のコメントです。

VoIPの音質評価

(Kさんよりのメール)
松田さん
京都祇園研究会参加希望します。詳細をお知らせ下さい。

最近やはりVoIP同好会のメンバーがWEBに記載されていた○○○の音声品質の測定器のセミナーに参加してきて是非これはほしいという事をいっていました。(MOSを数字であらわすというのが宣伝文句だったんですが)。 私がVoFRで経験した音声品質決定要素はMOSではなくて、お客様のBOSSが一番つよい決定要因でした。

あるデモに立ち会った際、ブラインド(松田注:圧縮率等を試聴者に知らせないこと)で32K(ADPCM),8k(CSAーCELP)、16K(LDーCELP)と聞き分けて頂いてもらうように営業サイドにお願いしたことがあります、結果として全然あたらない人もいましたし、8Kを一番よいと答えられた方や32Kは篭っているとか、非常に曖昧な議論になりどうどうめぐりした例もありました。 落とし穴としては電話機自体のノイズ対策でもよくなったケースもありますし、WAN側でのパケット長やらのチューニングでうまくいったケースもあります。

とにかくTDMで収容していた音声をROUTERにリプレースは可能ではあるが音声品質がよくなる可能性はほとんどない。 またデータ系への影響もでるというこの2点が依然存在することは事前によく肝に銘じておく必要があるという事でしょうか。
 

<ついに祇園デビューとは、感激です!>

*Kさんは社内でVoIP同好会を作っているとのこと。  同好会だからVoIPが好きかというとそんなことはないようです。 でも、「京都祇園研究会」と書かれると京都に行って祇園の研究をする、という感じですね。 いいアイデアです。 ちなみに研究会の会場から祇園は歩いて15分程度でしょう。
 

(Iさんよりのメール)

松田様
 

 Iです。 VoIPの講師をしていただく方が決まってないよりです。 

 ところで、音声品質評価ですが、音声コーデックの違いと遅延量、音声レベル、エコー情況やリターンロス・・・各種要素によって、実際の聴感から受ける印象は結構ちがうものだと思います。

 特に、最近の弊社の社員に、同じ音声レベルに調整した色々なコーデックの音や同じコーデックでメーカーを変えたり、遅延量の違ものを聞かせますが、何も説明をしないと、携帯電話に慣れているせいか、殆ど違わないといいます。
 

 一方、5〜8年前のTDM全盛期に設計で一流といっていい腕前の方ですと、やはり、「違いのわかる男」なのです。 8kCSーACELP、16KLDーCELP、32kADPCMをちゃんと一般会話で聞き分けます。 このときの一致した感想として、なぜ8kCSーACELPのMOS値がこんなに高いのか?といった疑問です。 何度聞いても16kLDーCELP、32kADPCMの方がずっといいといった結論が出てしまいます(当然、コーデックがなんなのかは内緒でテストしましたが)。

 では、なぜ?と言うと、やはり遅延の少なさと音のクリアさに尽きるようです。同じ音でも、8kCSーASELPは、部屋に徹夜でこもって朝を迎えたときのようななんとなくよどんだ雰囲気の音(こもった感じとコーデック処理遅延量の多さによるものでしょう)であり16kLDーCELPは、部屋から外へ出たときの爽快さににたような感じ。 32kADPCMは高原のさわやかさを連想させる音などと表現した方がいました。
 

 しかし、携帯電話に慣れた世代でも、ちゃんと、音質で特徴的なポイントを教えてあげると約半数は、違いを聞き分けることができるようです。
 

 企業グループ間にわたる非常に大きなPNWを形成しているあるお客様で、品質維持のため、あえて8kCSーACELPの2リンク構成をとったことがあります。  ただし、このとき使用した8kCSーACELPは今まで聞いた中で最も音質がよく(エコーキャンセラの動作も完璧)、ATMーCESで収容したので遅延は小さいこととあわせて、よく出来たVoIPの8kCSーACELPの1リンクより格段に音質がよく、出来の悪いVoATM(SVC)よりもはるかによかったケースがあります。

(以下略)

*Iさんはたぶん情報化研究会の300名あまりの会員の中でVoice over Packetsの経験が最も多く、かつ経験を整理したノウハウとして身に付けている方だと思います。 企業グループ間で2リンク構成をとったネットワークのことを書いていますが、間違いだらけのネットワーク作り(78)でコメントした基幹はVoATM、アクセスはVoFRでネットワーク構築を考えているという企業ではないかと思います。 Iさんの住んでいるところとこの企業の本社は同じ都市にあるからです。 昨年5月の記事ですが、その後の構築はうまく行ったのですね。 ただ、私が構想を聞いた時と違うのは基幹をVoATMではなく、ATM−CESにしPBXで中継していることです。 おそらくVoATMでは遅延その他の品質がよくなかったのでしょう。 ATM−CESは音質を維持するにはいい方法ですが、音声中継帯域を固定的に占有するのがデメリットです。 私なら1リンクにこだわりますし、固定帯域は避けますが、基幹部分の製品とアクセスの製品のメーカーが違うといった理由があって2リンクとしたのでしょう。

*Iさんのメールはもっと長いのですが、ここに開示してしまうとモッタイないので4月15日にIさんの口から話していただこうと思います。
 
 

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