間違いだらけのネットワーク作り(120) 2000/03/18
「H.323からSIPへ」

ここのところ新しい企業の方とのコンタクトが増え、それぞれの企業のネットワークに対する考え方やニーズが多様化していることに今さらながら驚かされます。 こちらとしても面白いと言えば面白いのですが、さあ、どう対応すればいいのでしょう。 研究会の方にも色々意見を聞いてみたい、ということで4月の土曜研究会を15日(土)に行います。

今回は関西在住の会員の方のために、京都で開催します。 会員であるNTTコミュニケーションズ京都支店の塚田さんのご協力で京都支店の会議室を貸していただけることになりました。 テーマは「データ・音声統合網設計のポイント」(松田 1.5時間)、「VoIPインストールの実際と音質評価」(講師調整中 1.5時間)、「本音で語るVoIP、その他」(ディスカッション 1時間)です。 VoIPインストールについて会員の方に呼びかけたところ6名の方から返信を頂きました。 現在講師を調整中です。 詳しい内容は会員ページに掲載しますのでご覧ください。

H.323からSIPへ

さて、先週PRISMの音声サービスが延期との記事を書きました。 日経BizTechの書き方は「見合わせた」ということなので、私は素直に「延期」と理解しました。 ただ別ルートの情報では秋から始まるのは既存電話網との相互接続サービスであって、IP−VPN内でのVoIPは4月からではないのか、というのもあって事実はよく分かりません。 JTの会員の方もかなりいらっしゃるので教えていただければと思うのですが。

とにかく64Kからのアクセス回線も使用するPRISMではIP−VPN内のVoIPでも遅延やデータと音声の競合による帯域不足に気をつかわねばならないでしょう。 電話網との相互接続はもともと秋からの計画とのこと。 VOIPがIP−VPN内で音質がベストになるようチューニングされているとすると、それがさらに電話網と接続されればVPN内で使うのとはレベルからして違ってくるのは当然ですし、エコーも出やすくなるでしょう。 また、網間接続インタフェースも問題になります。

PRISMがどんな仕組みを使うのか分かりませんが、米国ではVoIPの定番ともいえるH.323は見捨てられ、サービスプロバイダや機器ベンダーはSIP(Session Initiation Protocol)+MGCP(Media Gateway Contorol Protocol)を指向しているようです。 H.323は呼接続時間が長いという欠点がよく知られていますが、致命的なのは網間接続インタフェース(Network to Network Interface)や輻輳制御の仕組みを持たないことです。 これはH.323がもともとLAN上のビデオコンファレンスのためのプロトコルなので仕方ないことかもしれません。 

SIPはRFC2543で
 "The Session Initiation Protocol (SIP) is an application-layer control  protocol that can establish, modify and terminate multimedia sessions  or calls. These multimedia sessions include multimedia conferences,  distance learning, Internet telephony and similar applications.  SIP  can invite both persons and "robots", such as a media storage  service. "

と目的が定義されています。 電話だけでなく上記のような付加価値サービスを提供できることが特徴です。 HTTPのようなIPプロトコルへの準拠を強く意識しているためデータ・音声統合をより直接的に行えるとのこと。 SIPもH.323同様、網間インタフェースを持っていないが、IETFではSIPとMGCPを組み合わせて網間インタフェースとして使う仕様を検討しているとのこと。 

JTに続いてDDI+KDD陣営も今週IP−VPNサービスを6月から始めると発表しました。 使っている製品が同じなので何がPRISIMとの違いになるか分かりませんが、どちらも「次世代」と名を冠するなら、単純な電話サービスでなく次世代らしいサービスを提供して欲しいものです。 電話では音質で現在の電話網に勝てるはずがないのですから。
 

日経コミュニケーション3月20日号ではPRISMと既存サービスの料金比較をしていますが、変り映えしないようです。 価格でもインパクトがなく、サービスでもインパクトがないとなると、何が次世代のメリットになるのでしょう? 我々ユーザの立場にあるものは名前や利用している技術にまどわされず、客観的な利用価値でサービスを選択するという当たり前のことをキチンとしないと流行を追いかける女子高生と同じになってしまいます。

イクアントの国際IP−VPN

今週は国際のIP−VPNの報道もありました。 米イクアント社が50カ国でIP−VPNのサービスを3月14日に開始したとのこと。 ”イクワントのバックボーン・ネットワークはカナダのノーテル・ネットワークスのATM交換機「Passport」で構成。  ルーターは,米シスコ・システムズのVoIP(voice over IP)対応ルーター「Cisco2600」,「同3600」を利用する。”(日経BizTech) ちなみに国内のユーザはまだおらず、ゲートキーパーはまだ使ってないとのこと。 バックボーンがPassportなのでVoIP over FrameRelayなのでしょう。

イクアントではありませんが、ある国際公衆FRをサービスしている会社の方の話では東京とニューヨーク間の遅延は片方向で200ミリ秒とのこと。 国際FRでは遅延のゆらぎが大きく、その方はVOFRのゆらぎ吸収バッファを1000ミリ秒(つまり1秒)に設定しているそうです。 やれやれ、という品質ですね。 国際だから許されるのでしょう。 まさか、国内の公衆FRでも同じということはないでしょうね?
 
 
 

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