間違いだらけのネットワーク作り(118) 2000/03/04
「2月26日研究会模様@」

日経コミュニケーション 3月6日号がとどき、「企業ネットワーク 次ぎ一手」という特集をチラリと見ました。 相変わらず「画一的」トーンで、データ・音声統合はVoIPしかないような書きぶり。 かと思えば内線電話網は統合しない考えのユーザも増えている、といった「VoIPももう終わりか?」とデータ・音声統合そのものが電話料金の値下がりで意味がなくなっているかのような書きぶり。  もうすぐ電話もデータもIPで全て統合だ、とあおっていたトーンは変節しはじめたようです。 マスコミの言うことや書くことに振り回されず自分のポリシーを持ちたいものです。 ポリシーがないと「エッ、データ・音声統合はもう終わり?」なんて、ウロタエてしまうのです。

私が現在コンサルティングや設計でお付き合いさせて頂いている企業でも、電話はVPNサービスを使い、データは別ネットワークで運用している企業が複数あります。 ハッキリ言って電話VPNの料金の高さにあきれます。 一部の企業で電話とデータは別ネットワークにしようと考え始めている背景には、VoIPを売るベンダーが大規模ネットワークでの音質保証が困難なことに業を煮やし、データセンタ+IPデータのみのネットワークで電話の難しさを避けるセールスを進めていることがあると推測しています。 

先の土曜研究会で代表的なルータの大手代理店営業マンが言うには、「VoIPはPoint to Pointがほとんど。 複数拠点を結ぶ構成は技術者がいやがっている。 大企業にはデータセンタとデータのみのIPネットワークを勧めている。」とのこと。 VoIPの急先鋒がこういうセールスをしていることがユーザに影響を与えているのでしょう。 要は「複数拠点のVoIPネットワークで品質を保つのは容易ではない。 それより、データだけのネットワークで手っ取り早くルータを売ろう。」という方向に変わっているのでしょう。

いつもながら「売る側」の論理でユーザが振り回されるパターンです。 繰り返しますが、音声VPNなんて決して安くありません。 許されるなら、実際のユーザが毎月払っている電話VPN料金の実例をここに掲載したいくらいです。 電話VPNを現に使用している企業はVoice over Packetsネットワークの最も有力なターゲットです。 なぜなら、内線電話の料金がVPN料金で明確になっており、経済効果が定量化しやすいからです。 これまでの多くの経験から大企業で電話VPNを使っているところは、まず間違いなくデータ・音声統合で経済効果が出せます。 もちろん、現時点の試算は大規模な内線網でも使えるVoFRまたはVoATMにもとづくものです。

さて、2月26日の土曜研究会、結局36人が参加しました。 NTTPCの波多さん、栃木リコーの佐野さんにポリシー・ネットワーキング、MRTGによる簡単ネットワーク管理、のテーマで各2時間話していただきました。 今日はとりあえず、波多さんの話のトピックを取り上げます。 

なお、会員の方は会員ページに波多さんと佐野さんのPowerpointのコンテンツを全42枚、すべてダウンロードできるようにしてありますので活用してください。 スライドの上だけでは話の内容の60%も伝わらないでしょうが、講演の充実ぶりは想像していただけると思います。 個人的利用は自由ですが公の出版物やホームページに引用するときはご本人の承諾が必要ですので連絡ください。

波多さんの話は「MIB木の歩き方」と「ポリシー・ネットワークキング」に分かれています。 聞いていて感じたのは波多さんはSNMPやMIBという技術が好きなんだなあ、ということとネットワークとプログラミングの両方に精通した稀有な人だな、という2点です。  好きであることが楽しそうな話し振りとなって、聞いているこちらまで楽しくなってくる、そんな感じでした。

*Powerointをgifに出力すると文字が不鮮明ですね。すみません。

MIB木の歩き方

まず、スライド7枚中、ポイントの2枚を引用しましょう。


 


 
 

○波多さんはMRTGを理解する前提となるMIBについて実に分かりやすく説明してくれました。 ネットワーク管理をする上でWhatを規定するのがMIB、HOWを規定するプロトコルがSNMP。 MIBの構造とオブジェクトの指定の仕方。 MIBはちょっとしたプログラムで便利に使えること。 たとえばMIBをプログラムで読み取ってネットワーク内の機器を全て自動的にリストアップする、といったことが200〜300程度の機器で構成されるネットワークなら数分でできる、などという話を聞くと「こんなプログラムを簡単に作るスキルがあるとネットワーク管理は楽だろうなあ」とただただ感心しました。 

○余談として面白かったのがMRTGのカウンタとカレンダの話。 伝送バイト数等のカウンタは32ビットしかなく、80〜90メガビット/秒の回線だと5分でオーバーフローするためMRTGの標準の測定周期である5分ではカウンタは0クリアされてしまう。 周期を短くせねばならない。 また、今後超高速の回線が増えるとカウンタそのものを大きくする必要がある。

○MRTGのカレンダーはUNIXと同じで、1970年1月1日午前0時からの経過秒数で表される。 このエリアが2038年にオーバーフローする。  Y2Kより深刻な問題とのこと。 しかし、この研究会のメンバーのほとんどは2038年にはリタイアしているので関係ないか?というのが落ち。 リタイアどころか生きているかどうかも分からない?
 

ポリシー・ネットワーキング

スライド20枚中、3枚を引用します。


 


 


 
 

○総じて波多さんはポリシー・ネットワーキングに対して否定的です。 とりわけインターネットではASごとにポリシーが異なるため、AS間で合意した上でインターネット共通のポリシーを策定するのは難しい。 ただし、自AS内に閉じた簡易なポリシーに基づく課金や優先制御を組み合わせた商品は可能性あり。 現にNTTPCでもそのようなサービスを提供しているとのこと。

○もともとQoSのあるATMやフレームリレーが基盤になっていればポリシーは不要。 全面IPというノーコン・ネットワークになるとポリシーが課題になってくる。

○技術・製品面ではポリシーのフレームワークも、ポリシーをやり取りするプロトコルであるCOPSも標準化が終わっていない。 今年の夏頃、各社製品を出すといっているがどうだろうか。 企業内でもポリシーはまだこれから。 

○ポリシーを実行する上では優先制御が重要だが、キューイングで制御する方式とTCP WindowSizingで制御する方式があり、どちらが主流になるかまだ分からない。 Window Sizingはエンドシステムの知らないうちにトラヒックシェーパがTCPヘッダのウィンドウ・サイズを書き換えて帯域を制御する方式。 製品としてパケト・シェーパが有名。 当然ながらUDPを使う音声ストリームはこの方式では制御できない。
 

*ちょっと取り留めなくなりました。
 
 

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