間違いだらけのネットワーク作り(116) 2000/02/19
「VoIPはどこまで来た?」

2月3日のNET&COMでの講演「音声・データ統合ネットワークの構築手法と効果」の受講者アンケートが日経BP社から送られてきました。
受講者数は131人で、35セッション中の8位。 アンケート回収数は97。 回答の内訳は

たいへん良かった  58(59.8%)
良かった        37(38.1%)
どちらでもない     2( 2.1%)
あまり良くない     0(   0%)
良くない          0(   0%)

ネットワーク技術者でなく、ネットワーク「話」術者を標榜する私としてはヨシヨシという結果です。
アンケートに長文の感想を書いている方もいます。 無記名なので所属企業や名前はわかりません。 その中のいくつかを紹介します。

”期待通り、VoFR/VoIP/VoATMの特長と設計上のポイントが理解できた。 特に提案における付加価値が重要であることやそれぞれの技術を見極めることにより、GW/ルータの選定方法についてもポリシーを持つべきであると再認識した。”

”VoFR,VoIP、VoATMの選択で何が重要かが再確認できた。 「付加価値とは何か?」というところが一番勉強になった。”

”雑誌や参考書で得ていたVoPの常識をけっこうバッサリ切り捨てられたようなところが多く、とても楽しく聞かせていただけました。 余談も興味深く、メーカーに左右されない自分のようなSIに携わる者にとっては元気づけられる内容でした。”

”非常にわかりやすく、聞きやすい講演でした。 再度機会があれば受講したいです。 20,000円の価値は十分ありました。”

技術そのものだけでなく、「付加価値」を提案することの重要性を理解していただき、「元気づけられる」方もいらっしゃったのは講師としても感激です。 「何でもかんでもデータ・音声統合はVoXX、 機器はX社しか使いません。」などという、画一的で付加価値のない提案をする人が少しでも減ればいいと願っています。

NET&COMの講演は受講者が多く双方向性が出せないのですが、3月10日のJIECでの講義は比較的少人数で時間をゆっくりかけられるため、私も受講者の皆さんから意見や質問を聞きながら勉強させてもらおうと楽しみにしています。  私と全く違う意見をもった方がたくさん来るといいな、と期待しています。
 

VoIPはどこまで来た?

さて、今週の本題です。 2月に行われたVoIPセミナーの資料を入手しました。  メーカー、キャリア、ユーザ企業の3人が話しています。 私はVoIPの到達度はどの程度の規模のネットワークに適用できるか、音質はどうか、の2点で判定できると思っています。 資料では音質のことは分かりませんので、紹介されている事例の規模=拠点数を見てみると次のようになります。

メーカーの事例
4拠点、3拠点、3拠点、7拠点、3拠点の5事例。 回線速度はほぼ128K。  4拠点の事例は2拠点づつのVoIPネットワーク間をTDMで接続。 したがって、実質的には2拠点のVoIPネットワークが2つ。

キャリアの事例
事例なし。 4拠点モデルによる方法論のみ。

ユーザ
このユーザは「間違いだらけのネットワーク作り(72)」で取り上げた企業です。 99年4月17日の記事ですがVoIPのテストは98年の7月に始めています。 99年4月にメールを頂いた時点では3拠点で稼動していました。 

1年前−768K回線で3拠点
現在−1.5M専用線が主体で9拠点をスター状に接続。 スターの中央には専用線を受けるルータ8台に加えてゲートキーパー用など計12台以上のルータを使用。

贅沢な使い方ですね。 1.5MあればIPパケットのヘッダ圧縮も、フラグメントも不要。 遅延だって少ないに決まっています。 VoIPの限界を回線速度でカバーしているように見えます。 中心となる拠点にルータが10台以上並ぶというのも、製品的に大規模に対応できるものがまだ無いんでしょう。 でも、わずか9拠点でこんなに多くのルータが必要な理由はわかりません。

総評

VoFRやVoATMで、100拠点を超える内線網を作った所で、通信拠点には1台の交換機があれば事足ります。 回線も64KでTCP/IP、音声2チャネルを統合している銀行はめずらしくありません。 大規模ネットワークへの適用という点でVoIPはまだまだのようです。

また、印象に残ったのはメーカーの資料に「エコーサプレッサでエコーを除去」と明記されていた点です。 これはエコー・キャンセラと書くべきところを間違えたのでしょう。 このメーカーの製品は実験に立ち会わせていただいたことがありますが、しっかりエコー・キャンセルが出来ていたからです。  ただし、世の中にはエコー・キャンセラーでなく、お粗末なエコーサプレッサを使っている製品が大手を振っているので注意が必要です。 エコー・サプレッサは10年以上前の技術です。 エコー・キャンセラとエコー・サプレッサの違いは、「企業内データ・音声統合網の構築技法」を参照してください。

エコー・キャンセラとエコー・サプレッサの見分け方は簡単。 エコー・サプレッサならVoIPで両側から同時に声を出すと、相手の声が消えてしまいます。 次世代IPネットワークを見学した際に実験したら見事に相手の声が消えました。 両側から同時に声を出すことをダブルトークといいます。  電話がつながった直後は「もし、もし」とか、「はい、A社です。」という音声が同時に発せられてダブルトークになりやすいのです。 また、会話の途中でも遅延が大きいVoIPだと相手の返事を待ちきれずに続けて声を出すために、相手の返事とこちらの声がダブルトークになってしまうのです。

ちゃんとしたエコー・キャンセラーなら、ダブルトークであろうと相手の声が消えたりはしません。 IPデータをハンドリングする技術とエコー・キャンセラーのような電話の技術は次元の違うものです。 IPのハンドリングがうまいから音声に強いとは限りません。 VoP−GWは音声技術に強いメーカーの製品を選ぶべきだと言いたい訳です。

2月26日土曜研究会

「MRTGによる簡単ネットワーク管理」と「ポリシー・ベース・ネットワーキング」をテーマにした26日の土曜研究会が来週に迫りました。 現在、42名参加予定です。 あと数名は参加可能ですので、希望する方は連絡ください。
 
 

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