韓国・統一展望台の旅(1999年9月9日〜11日)
☆今回の旅のポイント

1999年

9月9日(木)

18:45 ノースウェスト航空9便成田発

ホテルニューソウルオンドル部屋に宿泊

9月10日(金) 終日 京義線で金村、統一展望台。南大門市場、ヨンプン文庫、明洞、ロッテデパート。ニューソウル泊
9月11日(土)   ソウル市庁周辺散策。その後帰国便へ。


 秋の気候のよいときに一度韓国を訪れたいと思い、旅行社を通じて航空券、ホテルを探していたところ、3万円台で2泊3日の韓国旅行をする機会を得ることができた。が、韓国旅行は最近爆発的な人気だそうで、旅行社から確実な解答をもらうまでには少し時間がかかってしまった。安い、近いとあれば人気が出てくるのも当然のこと、仕方がないであろう。
 
 9月9日(木)
 今回のソウル行きのフライトは、成田発18:45→ソウル着21:20(ノースウエスト航空9便)であった。夜の出発なので朝早く自宅を出なくて済んだものの、1日目は何もできずにホテル直行である。機内はやはり満席で特にアメリカ人の乗客の割合がかなり多かった。ソウルまでの機内アナウンスは英語、韓国語、日本語の順で行われたが日本語では若干内容が省略されているアナウンスもあった。
 機内食はなんと韓国のビビンバが出てきた。ビールを飲みながらビビンバを食べていると、前方のほうの席ではもう機内食の容器の回収が始まっている。しばらくすると高度を下げはじめ、あと20分で到着の旨のアナウンスが入った。このせわしなさは近いゆえに韓国便独特のものであろう。窓から韓国の夜景が見え始めてきたが、ソウル周辺の夜景は東京と比べると暗いように感じた。東京の街中が明るすぎるのかもしれないが。でも、異国の夜景は大変きれいであり、今でも印象に残っている。定刻より20分ほど早く到着した。空港はこの時間になっても出迎えの人たちでいっぱいであった。
空港ビルの外に出ると、外は小雨になっているせいか、少し蒸し暑さを感じた。
 ホテルに着くまでの間車の外から夜のソウルの街中の様子を見ていたが、一〇時近いというのにどこの店もやっており、多くの人でにぎわっている。そして何よりも雰囲気が日本にそっくりなので異国に来た感じがしないし、そのせいか、夜の最終便の飛行機だったのに、疲れも感じさせない。
 今回泊まるホテルはソウル市庁近くの「ニューソウル」である。しかもオンドルの部屋であった。(もちろんこの時期は床暖房は入っていません。)オンドル部屋は初めてであったが、一般の洋室よりもくつろぐことができた。和室に慣れた日本人の性質のせいかもしれない。ふとんや座布団や枕は独特の派手な色調が使われていて、韓国らしさを感じることができとてもよかった。
 明日はまる一日自由に過ごすことができる。北朝鮮国境付近にあるオドゥ山統一展望台に行く予定であるので、再度行き方を確認した。ソウル駅から国鉄京義線で金村(クムチョン)まで行き、そこからバスかタクシーで統一展望台入り口へ、そしてシャトルバスに乗り換えて統一展望台に着けるらしい。
9月10日(金)
 朝6時前に起床したが、外は雨である。テレビで天気予報を確認しながら荷物の整理をする。どうやらこれから雨は上がり晴れてくるらしい。昨夜は部屋の乾燥を防ぐために窓を少し開けたまま寝ていたのだが、夜中に蚊に悩まされてよく眠ることができなかった。
 ホテルのそばにある市庁駅から地下鉄に乗り、ソウル駅に向かう。1月にソウルに来たときは運賃は450ウオン(45円)だったが今回は値上げされていて500ウオン(50円)になっていた。それでも信じられないくらいの安さだ。程なくソウル駅に着く。このあと国鉄京義線に乗って北に向かい金村駅まで行くのであるが、まだ時間があるので駅構内で朝食をとることにする。構内には、ハンバーガーをはじめキンパプ(韓国のり巻き)やうどんなどの店が7,8軒ほどあり私はその中の一軒に入り、チャジャン麺(挽き肉やたまねぎなどが入っている少し脂っこい味噌があんかけになっている麺)を注文した。3000ウオン(300円)である。味はハヤシライスに似ており、非常になじみやすい。チャジャン麺と一緒にたくあんとタマネギをスライスしたものが出てきた。わきには味噌がつけられている。この味噌をつけながらたくあんやタマネギを食べるのだろうか?ほかにメニューを見ると、チャンポンやうどんなどがあった。
 ソウル駅はいくつも切符販売の窓口があり、方面別に分かれている。又、外国人専用窓口も設けられている。私は最初外国人専用窓口で買おうとしたが、そこでは買えず、「24番の窓口で買ってください」と英語で言われた。ほかの窓口(多分、釜山方面)はどこも行列があるのに24番窓口は誰も並んでいない。これだけでもこのあと乗る京義線は郊外へ行くローカル線らしさを感じさせる。金村(クムチョン)までは1300ウオン(130円)、さっき買った時刻表を見ると所要時間は約1時間強で、運行間隔は1時間に1本の割合である。切符は24番窓口で無事買うことができた。行き先など必要事項をハングルで書いたメモを渡し、「クムチョン!」というと窓口の人はうなずきながらすぐに分かってくれた。なお、切符は日本では滅多にお目にかかれなくなってしまった、硬券だった。
 ぴったり時間通りに金村(クムチョン)に着く。京義線はソウル駅を過ぎてしばらくは街中を走っていたがやがて田園風景が多く見られるようになり本当にローカル線一色といった感じの車窓風景だった。又車内はかなりすいており、席が全部埋まることはなかった。反対にソウル方面への電車はすれ違うときに何度か見たところ通勤客で混んでいた。
 駅を出るとすぐにタクシーが何台か待っているのを見つけた。バスのほうが安いのだが、あるガイドブックによると金村(クムチョン)バス乗り場までは10分ほど歩かなければならないようだし、本数も少ないそうなのでタクシーで統一展望台まで行くことにした。
 韓国旅行は今までに2回しているが、タクシーを使うのは今回が初めてである。韓国のタクシーは模範タクシー(外国人向けで運転手のマナーがよく、料金も少し高め))と一般のタクシーの2種類がありガイドブックの多くは一般タクシーは運転手のマナー(料金をぼられるなど)などの点であまりすすめられないように書かれている。
 今回私は一般タクシーに乗った。下手な韓国語で「統一展望台まで行ってください(トンイルチョンマンデカーチュセヨ)」というとすぐに「トンイルチョンマンデ?ネー。」という返事が返ってきたので安心した。でも、ガイドブックに書かれてあったとおり運転手は本当にめちゃくちゃにとばしながら運転している。見通しの悪いところや曲がり角でも絶対にスピードを緩めないし、何といっても見通しのよい直線道路(高速ではありません)では何と120キロも出していたので少し怖かった。おかげて15分くらいで簡単に着くことができた。肝心の料金はメーター通りの料金であったので安心した。確か8000ウオン(800円)くらいだった。降りるときに運転手さんはあそこからシャトルバスに乗り換えなさいと丁寧にそのあとの行き方を教えてくれた。
大きなシャトルバスが何台も止まっていてどのバスに乗ってよいか分からないので近くにいたバスの運転手らしい人に手前のバスを指さしながら「統一展望台(トンイルチョンマンデ)?」と聞くと「O.K.!」というちょっとずれた答えが返ってきた。バスに乗ると、5分くらいで統一展望台の建物前についた。今は修学旅行の季節なのだろうか、日本の高校生も観光バス3台使って来ていた。
 入り口で1500ウオン(150円)払い中にはいる。建物は地下1階から地上4階まであり、展望室、北韓展示室、食堂、売店などで構成されている。4階にある展望台に行くと、北朝鮮にむけられていくつも双眼鏡が設置してある。建物の下を川幅3キロの臨津江という川が流れていてその川向こうが北朝鮮である。肉眼でもはっきりと向こうの様子が分かる。本当にすぐそこが北朝鮮といった感じである。でも北朝鮮まであと3キロという地点まできているのに板門店のようなものものしい警備が全くないので分断、或いは国境という実感がわかない。じっと川向こうにある北朝鮮の小さな村を見ていると北朝鮮の有線放送が聞こえてくる。アナウンサーは非常に勇ましく激しい口調で叫んでいる。料金を払って双眼鏡で見ると、向こうの建物の窓の様子まで細かく分かった。人の気配は全く感じられなかったが、もらったパンフレットによると歩いている人の姿も時には見えるそうである。
 統一展望台の建物の中では北朝鮮の焼酎(ピョンヤン焼酎)やビール、ビデオなどが売られていたので驚いてしまった。どの様な経路でその様な品物が入ってくるのだろうか?このあと、いろいろな展示物などを見て統一展望台をあとにした。
 たった3キロの川幅の川を自由に行き来できるようしようとして長い年月を費やし、政治、思想体制の違いからいまだにそれが実現できないという現実の重さを肉眼で感じた場所であった。日本にいて平和という当たり前の現実になれてしまうと、この独特の感じはなかなか経験できないと思う。近い将来南北統一が実現し、この景色のよい川に観光船が通り自由に行き来できるようになったらどんなによいだろうかと思った。
 帰りも金村(クムチョン)駅まではタクシーを使った。バスを待っていたのだが(バス停はなく、近くにバスの時間表が掲げられているので要注意)運転間隔が長く、なかなか来ないのでたまたま来たタクシーに乗ったのである。帰りは何と韓国独特の「相乗り」を経験できた。私のほか、2人を途中で乗せて金村(クムチョン)駅へ向かった。すでに昼も過ぎ、1時をまわっていたので駅近くの小さな食堂に入った。カルビタンを頼んだが、その前に5皿(5種類)のキムチが出てきた。大変美味しかったがとてもキムチを5皿も食べれない。カルビタンは大きなドンブリに入っており、なつめの実や朝鮮人参まで入っていた。味、量ともに大変満足して値段はたったの4000ウオン(400円)、ソウルよりも若干安いようだ。
 午後はソウルに戻り、南大門市場や鍾路の大型書店、永豊文庫、ロッテデパートの地下食品売場、明洞などを見て回った。鍾路の大型書店、永豊文庫では相変わらず混んでいて、売り物の本の内容を自分の手帳などに書き写している人が多く見られた。
 地下鉄に乗っていると相変わらず物売りが乗り込んでくる。突然車内で女性の演説調の声がし始めたので見てみると、通路の真ん中に立ってばんそうこうを売り始めた。1箱1000ウオン(100円)だそうである。箱には様々な大きさのばんそうこうが入っているらしい。買う人がいるのかと思ってみていると、たいていの人は相手にしていないようだったが、一人、おばあさんが買っていた。物売りが行ったかと思うと今度は若い女性が小さな箱を持ちながら募金のお願いに来た。これまたほとんどの人は手を振って相手にしていなかったが、今度は若い軍人らしき人が3人、お札で募金をしていた。ソウルの地下鉄は本当に退屈しなくて良いものだ。
 ロッテデパートでは地下食品売場でおみやげ類を買ったが、インスタントラーメンや海苔は大変な人気で日本人観光客が山のように買っていた。これらの品物は最近、日本でも買えるようになってきたので今回は私は買わなかった。代わりに生鮮食品の売り場に行って、ミカンとブドウ(巨峰)とナシとニンニクを買った。どれも大変安かった。帰国の際、成田空港で植物検疫を受けたが、すべて大丈夫だった。前にも書いたが、韓国の果物類は甘みが強く本当に美味しいのでおみやげにはおすすめである。ニンニクも日本のよりも香りが強い。
韓国では最近環境政策の一環で、買い物をしてもビニール袋をなかなかくれない(買うことになっている)。事情を知らない外国人観光客はとまどうかもしれないが非常によい政策だと思う。ロッテデパート地下食品売場のレジで見ていたが、多くの人は自前の手提げ袋をあらかじめ持ってきていた。レジで手提げ袋を広げると店員が中へ品物を入れてくれるのである。ビニール袋が欲しいときには「ビニルボンジチュセヨ!」というと手に入れることができる。
 夜は明洞の全州中央会館でビビンパを食べた。この店のビビンパは他の店に比べると高いがほんとうにおいしい。有名店で日本語が通じることもあり、店内は日本人のほうが多かった。

9月11日(土)
 帰りの飛行機はソウルを10時40分に出るため、この日は少ししかソウルにいることができない。朝早起きしてソウル市庁のまわりを散歩したり、コンビニでおみやげを買ったりして今回の韓国旅行を終えた。ソウル市内だけでもまだまだ行きたいところはたくさんあるのだが、またの機会に楽しみにとっておくことにする。
 日本に帰ってからしばらくの間はスーパーなどで買い物をすると物価の高さにがっかりしてしまう日が続いた。
 
 
 
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