忠州〜潭陽〜一山〜ソウル旅行記(2008年5月18日〜5月22日)・4日目
    

                                                          

                                       

            

 5月21日(水)

  今日もまる一日遊べる。ありがたい。
 とはいえ、行きたい所はたくさんあり明日は帰国日、まる一日あっても足りないくらいだ。とりあえず午前中は京義線に乗って一山で過ごす予定だ。例によってチョゲ寺からの朝の読経で目が覚める。外は雨が降っているが早朝なのに、チョゲ寺の参拝客は絶えない。
 チョゲ寺バス停から路線バス(ブルーバス)に乗りソウル駅へ行く。これだと雨の中あまり歩かずに済んでしまうのだ。ソウル駅構内のフードコートでチュンムキムパブを食べる。ここのフードコートはあらゆる種類の韓国料理があり気に入っている。街中の食堂より若干高いのだが。
 チュンムキムパブは4000W,イカキムチとカクテギ、スープが付いてきた。ご飯と韓国海苔の味を純粋に楽しむなら太巻きタイプのキムパブよりこちらのチュンムキムパブのほうがいいかもしれない。いずれにしてもおいしい。

※ソウル駅構内のフードコートでチュンムキムパブの朝ごはん

 京義線に乗るのは数年ぶりだ。一山までの切符を窓口で買う。一山駅は韓国ドラマ「19の純情」のロケ地である。庶民的な感じの駅だなあとドラマを見ているときに思っていた。ドラマ内では金村駅になっているが実際はこの一山駅が舞台になっている。ドラマ撮影時だけ駅名看板をつかけえたそうだ。
   
※ソウル駅に入線した京義線 臨津江行き。


 車内はほぼ席が埋まる程度の混み方である。ソウル駅を出発して40分程度で一山駅に着く。外はまだ雨が降っている。なるほど、一山駅の改札付近は花がたくさん植えられている。ドラマの中でもこれがとても印象に残っていたのだった。ドラマの中で駅長役お父さんが駅の花に水をやるシーンが何度も出てくる。駅の後ろ側は高層マンションが立ち並んでいるがこれもドラマで見たとおり。
   
※一山駅。後ろは高層アパート群。ドラマ「19の純情」では駅名看板が金村駅になっている。

  
※一山駅。ドラマで駅長役のお父さんが植木に水をやっているシーンなどはこのカットが多かったか。

 一山というと整然と整理区画された一山新都市のイメージが強いがここ一山駅周辺は「旧一山」とでも例えたらいいだろうか、従来のごちゃごちゃとした街が広がっている。こういうほうが街歩きは楽しい。「19の純情」に出てきたオムジ食堂と設定されている店舗を探したが見つからず。これは予習不足だ。
 駅周辺を歩いているうちに一山総合市場という昔ながらの薄暗いアーケード市場を見つける。ここでしばらく時間をとってしまう。観光化されていない在来市場は普段の韓国食生活が見えてくるようでとにかくおもしろい。市場内の食料品店の店先に豆腐が並べられているのを見ると日本と韓国の近さを感じる。
  
※一山総合市場。薄暗いアーケードの市場だ。

 市場を出てしばらく周辺を歩くと「漫画房」を見つける。韓国版の旧式漫画喫茶というのだろうか、ソウルでも探せばあるのだろうがまだ見たことがない。この建物、2階が漫画房で1階は「オヤオヤ」という居酒屋だ。オヤは五夜だろうか。
  
※1階はオヤオヤという居酒屋。2階は漫画房。  一山駅周辺の町のようす。

 一山駅周辺を一時間弱歩きまわったところで今度は大谷駅へ行く。大谷駅は京義線と地下鉄3号線の交差駅なので乗換えができる。大谷駅の外を見るとなんと、民家は畑、空き地ばかりであとはなにもない。ちょっと印象的な駅だ。京義線と地下鉄3号線の乗換えができるためだけに作られた駅なのか。
  
※大谷駅ホーム。駅の外は右の写真のような感じで見るべきものはなにもない。

 ここで地下鉄3号線に乗り換えて白石駅へ向かう。お目当ては白石駅そばにある北朝鮮系食堂だ。いつも本当に興味深い韓国ブログを書かれているヤマネコさんから教えていただいた店だ。
 開店時間前に着いてしまったのでしばらくまた駅周辺を歩きまわる。先ほどの一山駅周辺と違ってこちらは道が広く、整然とした街づくりがされている感じだ。一山新都市のイメージに近い街だ。

※白石駅周辺の町の様子。とにかく道が広い

 非常に大きな郵便局を見つける。高陽郵便集中局と大きなビルにある。日本にも郵便集中局(周辺郵便局の取集業務統合局)があるが見た感じ同じようだ。敷地内には大きな郵便トレーラーが何台も並んでいる。
  
※高陽郵便集中局。敷地内は取集用のトレーラーがいっぱい。

 郵便局を過ぎるとアパートばかり、だが並木道になっていて歩いていて気持ちが良い。高陽市(コヤンシ)という大きな看板を見つけ、ここ一山新都市は高陽市だと気づく。

※ここは高陽市・一山

 ブラブラと歩いているうちにお目当ての北朝鮮系食堂の開店時間となった。牡丹閣というこの食堂は雑居ビルの中にあった。店内は広くてとてもきれいだ。大きな朝鮮画も掲げられていて北っぽい感じがする。

※北朝鮮系食堂「牡丹閣」が入っている雑居ビル。

 冷麺を頼んだ。確か6500Wだったか。付け合せのキムチは北朝鮮らしい唐辛子を使わない白菜キムチ。見た感じは日本の白菜の漬物だが味は旨みが豊かに出ていていくらでも食べられる。肝心の冷麺もほっとする味。スープはさっぱりしているのだがなぜかあとを引く味だ。食べているとお店のご主人がテーブルごとに挨拶に来る。まだ若い、ハキハキした方だった。気がつくとまわりはサラリーマンらしい人でいっぱいだ。会社の昼休みに来ているのだろう。久しぶりに本当に美味しいと思える冷麺を食べた。
  
※牡丹閣の店内の様子。立派な朝鮮画。      注文した冷麺。本当においしい。

 午後は地下鉄3号線でチョンバルサン駅へ。一山湖水公園をちょっと見に行く。非常に広い公園で徒歩で一回りするのは時間がかかりそうだ。景色はとても良い。公園内にあるバラ園を見に行く。ピンクや赤のバラがが咲き乱れていてとてもきれいだ。
  
※一山湖水公園                     園内のバラ園

 国鉄一山駅周辺の古い一山の街、地下鉄3号線白石〜チョンバルサン周辺の新しい一山新都市。新旧両方の一山の街歩きを楽しむことができた。
 この後はソウル・アプクジョン洞まで行く予定だが地下鉄で行くと景色が楽しめない。なんとかバスで一気にアプクジョン洞まで行けないものかとバス停を見てみると江南の新沙方面へ行くレッドバスがあることがわかった。新沙の隣がアプクジョンだからちょうどいい。
江南・新沙方面行きのレッドバスはすぐに来た。レッドバスは高速道を通るので普通の路線バスより早いし乗り心地がいい。
 アプクジョン洞からチョンダム洞にかけては特色あるカフェがあちこちに点在する。おいしいコーヒーとケーキを楽しみたいと思い、事前情報無しに周辺をブラブラと歩く。ハルエというカフェがお気に入りだが今回は別の新たなカフェへ行きたい。
 しばらく歩くと「自家焙煎」の文字が目に入る。なかなか良さそうな感じのカフェだ。店名はハングルで「カベハネ工房」とある。店内はウッディな感じでとても落ち着く。メニューを見てビックリ。十数種類のコーヒー豆を用意しているようだ。その中からモカマタリを頼む。ケーキはティラミスにした。

※アプクジョン洞のカフェ「カベハネ珈琲工房」

 カウンターを見ると丁寧にドリップしているのがよく分かる。これは期待できそうだ。午前中から一山をあちこち歩き続けているので疲れた。頼んだモカマタリは期待通りの甘い香り。韓国ではあちこちでコーヒーを飲んできたがここのは一番かもしれない。ただし値段は高め、モカマタリは確か6500Wだった。ティラミスもとてもおいしい。これは確か4000W程度だったと記憶している。旅先でのちょっとした贅沢だが自分で稼いだお金を思い通りに使っているだけなので気にしない。喫茶店の方に「もしかしてこの近くの学院で勉強している日本人の学生さん?」と聞かれた。この喫茶店はまたぜひ行きたい。
  
※店内の様子。サイフォンを使用し、丁寧に珈琲を淹れている。右は注文したモカマタリコーヒーとティラミス。

 この後は鍾路に戻りソウル駅ロッテマートでマートで食料品をたくさん買い込んだあとキムパブ天国で夕食。プルコギトゥッペギを食べた。日本の牛丼のような味でおいしかった。

※キムパブ天国のプルコギトゥッペギ。牛丼のような味。

 夜は市庁前のソウル広場で文化芸術行事見物。実はこの行事に大好きなチェリーフィルターが出演し、ライブを行なう旨の情報を事前に調べておいたのだ。ソウル広場へ行く途中、チョンゲ川広場ではアメリカ産牛肉輸入反対集会が大規模に行なわれているのに出くわす。これも大変興味深いのでしばらくこちらの集会を見ていた。数千人は集まっていただろうか。赤い厚手のプラカードと紙コップに入ったろうそくが配られている。韓国ではおなじみのろうそく集会だ。プラカードには「国民は怒っている!」、「イミョンバクを弾劾せよ」などのスローガンが書かれている。
  
※チョンゲ川広場で行なわれたアメリカ産輸入牛肉反対集会。舞台では若い人たちが次々と意見を発表している。

 学生を中心に若い人が多く、舞台では高校生まで飛び入りで牛肉輸入に対する意見を発表している。この大規模な集会をずっと見ていて、おおぜいの若い人たちが自国の政策や自分達が食べている食品に対して大きな関心を示し論議し行動していることにちょっと驚かされ、頼もしくも感じた。日本ではどうか?例の毒入り餃子問題はいつのまにかどこかへ行ってしまったようだ。
 プラカードは記念にいただいてきた。また、大学生たちが牛肉輸入反対運動のカンパとしてTシャツを売っていたので私も協力しようと思い1つ買った。私は彼らに日本からやってきてこの問題に関心がある、というととても喜んでいた。彼らからはごく自然に「アリガトウゴザイマス」という日本語も出てきた。
 もう少し集会の様子を見ていたいが市庁前のソウル広場へ行かなければならない。ソウル広場までは歩いて数分と近い。私が着くとちょうどチェリーフィルターのライブが始まったところだった。無料で間近に見られるのだからすごい。

※ソウル市庁舎。夜はこんな感じでライトアップ。

 私は一番前へ陣取りライブを楽しんだ。観客はみんな総立ちで踊っている。この雰囲気がいい。「ナンマンコヤンイ」(浪漫猫)や「オリ ナルダ」(あひる飛ぶ)などの名曲をすぐ間近で楽しむことができ、韓国最後の夜は本当にいい思い出となった。
  
※チェリーフィルターのライブ。すぐ目の前で見られて雰囲気も最高だった。

 モーテルへ戻る途中、チョゲ寺をのぞいてみる。夜はたくさんのちょうちんに灯りがともり、それはきれいな光景だ。明日は早くも帰国日、5日間はあっという間だ。

※夜のチョゲ寺。

 
 
            

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