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Urinary Organs 泌尿器系の臓器 腎臓は脊柱の両側、横隔膜の直下に存在する。腎臓は厚い背中の筋層を押して、腹膜の裏側に存在する(後腹膜臓器である)。腹膜は腹腔を被っていて、腹腔は下位の肋骨による保護も受けている。けれども、背中の叩打により腎臓はダメージを受ける。腎臓パンチはボクシングの世界では禁じ手である。 腎臓はソラマメの形をした、赤茶色の臓器で、左右のそれぞれが拳大で、尿を産生する。腎臓は、線維性結合組織の強靭な皮嚢に脂肪組織の被膜が被ったものの中にある。内側中央のくぼみには、腎動脈が入り、腎静脈と尿管が出ている。 尿管は筋性の管で、長さは約25cmで、尿を腎臓から膀胱まで蠕動運動で運ぶ。尿は膀胱に一分間に5回の割合でおこる蠕動収縮のジェット流により運ばれる。 膀胱は、600mlの尿を貯蔵することができる中空の筋性の臓器で、尿が入るにつれ拡張していく。尿道が膀胱を出る近傍には二つの括約筋が存在する。 尿道は、膀胱から出て外へ通じる開口部まで伸びている構造であり、男性と女性で長さが違う。女性では、尿道はたった約4cmの長さしかない。女性では尿管が短いことにより細菌の侵入を容易に許し、そのことが女性が尿路感染症に男性よりかかりやすことの説明になっている。男性では、陰茎が弛緩した(へなちょこな、勃起していない、たっていない、恥しい)状態の尿道の長さの平均は20cmである。男性では尿道は膀胱から出た後、前立腺に取り囲まれる。老人では、前立腺の肥大は排尿を困難にし、通常は外科的に補正するような状態になる。 女性では生殖器系と泌尿器系の間のつながりはない。男性ではつながりがある。それは、尿道は 射精の際の精液の通過 にも使われるからである。この二重の機能は尿の経路を変更することはない。そして、Figure 9.3に記した構造にのみ尿が見られるということを認識するべきである。 Urination and the Nervous System 尿生成と神経系 膀胱が尿を満たし、約250mlになると、伸展受容器が感覚神経インパルス(活動電位)を脊髄に送る。続いて、脊髄から運動神経インパルスが出て、膀胱の収縮と尿道括約筋の弛緩がおこり排尿が可能になる。年長児や成人では、脳がこの反射をコントロールしていて、適当な時になるまで排尿を遅延させることができる。 |
Figure 9.2 The urinary system. 泌尿器系 尿は、腎臓、尿管、膀胱、尿道の内部にのみ存在する。 Figure 9.3 Urination. 排尿 膀胱に尿が満たされると、感覚神経のインパルスが脊髄を通って脳に達する。脳は排尿したいという衝動を無効にすることができる。排尿がおこれば、運動神経のインパルスが膀胱を収縮させ、内尿道括約筋が開く。神経インパルスにより、内尿道括約筋も開く。 |
腎臓、膀胱、尿管、尿道からなる泌尿器系だけが尿を保っている。 |
Metabolic Wastes 代謝性老廃物 腎臓は、1. 尿素、2. クレアチニン、3. 尿酸を含んだ 窒素性老廃物 を排泄する主要な臓器である。 尿素は、アミノ酸代謝の窒素性最終代謝産物である。肝臓でのアミノ酸の分解によりアンモニアが放出される。アンモニアは肝臓で二酸化炭素との結合を受けて尿素になる。アンモニアは非常に毒性の強い物質で、尿素は比べて毒性がかなり弱い。尿素はヒトおける主要な窒素性最終代謝産物である。(訳注: この文は、生物によって違いがあることを示差している。例えば鳥類や爬虫類では、尿素ではなく尿酸主体の排泄となっている。) 他に二つの窒素性代謝産物が腎から排泄される。クレアチニン は クレアチンリン酸代謝 の最終代謝産物である。クレアチンリン酸 は、筋組織における高エネルギーリン酸保存分子である。核酸の分解産物は尿酸である。尿酸はどちらかというと水に不溶性である。(もちろん尿素は水によく溶ける。) 血中に尿酸が多く存在すると、尿酸の沈殿が析出する。尿酸の結晶はしばしば関節に集まり、痛風と呼ばれる痛みを伴った疾患を生じる。(はぅっ) Water-Salt Balance 水分-塩類 バランス 腎臓の主要な機能は、身体の 水分-塩類 バランス を適切に調節することである。想像の如く、血液の量は塩類バランスと密接に関与している。御存知のように、NaClのような塩類は、この場合では水分の浸出である、浸透圧を生じることができる。血液中に塩類が多ければそれだけ血液量は増え、血圧は上昇する。それ故、腎臓は血圧の調節にも関与していると言える。 腎臓は Na+ や Cl- 以外の他の血中のイオン、例えば カリウムイオン(K+)、重炭酸イオン(HCO3-)、カルシウムイオン(Ca++)といったものの量も調節している。 |
Acid-Base Balance 酸-塩基 バランス(平衡) 腎臓は血液の 酸-塩基 バランス も調節している。我々が健康を維持するには、血液の pHはちょうど 7.4付近であることが望ましい。腎臓は、必要に応じて水素イオン(H+)を分泌して重炭酸イオン(HCO3-)を再吸収することで、血中のpHを監視して調節している。尿素は通常6かそれ以下のpHである。 Hormonal Function ホルモン(分泌)機能 腎臓は内分泌系の補助を行っている。腎臓は エリスロポエチン と呼ばれるホルモンを分泌する。エリスロポエチンは、赤血球の産生を刺激し、また、皮膚由来の ビタミンD前駆物質 の活性化にも役立っている。ビタミンDは消化管からのカルシウム(Ca++)の再吸収を促進する。 腎臓は レニン も分泌する。レニンは副腎皮質からの アルドステロン の分泌に関与する物質である。アルドステロンはナトリウムイオン(Na+)の再吸収を促進する。
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9.2 Kidneys 腎臓 腎臓を長軸方向でスライスしてみると、腎臓の内部に入る 多くの 腎動脈の枝 と 腎静脈の枝 を見ることができる(Fig. 9.4a)。血管を取り除くと、腎臓の三つの領域を同定することが容易になる。腎皮質は外側の顆粒状の領域で、放射状に伸びた縞模様のある腎髄質と呼ばれる内側の領域に組み込んでいる。腎髄質は腎錐体と呼ばれる錐体形の組織の塊が集合したものである。腎盂(じんう)は、中心の空間もしくは内腔で、尿管と連続している(Fig 9.4b)。 |
顕微鏡的には、腎臓は、時に尿細管とも呼ばれる100万個以上ものネフロン(腎単位)で構成されている。(訳注: この文はいささか乱暴。ネフロン(腎単位)は、腎小体と尿細管でできているのだから。また、renal tubule を腎管と訳すのは×。∵腎管は環形動物の排泄管だから。) ネフロンは尿を産生し、ネフロンの位置は尿が集合管に流れ込むような位置に存在している。同じ集合管に幾つかのネフロンが注ぎ込む。集合管は腎盂に注ぎ込む。
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Parts of a Nephron ネフロン一つを構成する成分 ネフロンの一つ一つがそれぞれ幾つかのパーツで構成されている(Fig. 9.5)。パーツのそれぞれの構造がそのパーツのもつ機能に適したものとなっている。 第一に、ネフロンの閉じた端は、糸球体嚢(Bowman ボーマン嚢)と呼ばれるカップ状の構造に食い込んだ構造となっている。糸球体嚢の外層は扁平上皮細胞でできている。糸球体嚢の内層は、細胞質に突起をもつ有足細胞(タコ足細胞)でできている。有足細胞は糸球体の毛細血管壁に付着し、小さな分子が糸球体から糸球体嚢の中へ容易に流れるように孔を開ける。この過程は糸球体濾過と呼ばれ、血液の濾過を行っている。 次に、近位(distal つまり、糸球体に近いという意味の)尿細管である。立方上皮細胞はネフロンのこの部分を被っていて、約1umの長さの幾つもの微絨毛をもってていて、その微絨毛は密に結合していて刷子縁を形成している(Fig. 9.6)。刷子縁は濾過された物質の尿細管(での)再吸収に役立つ表面積を大きく拡大している。細胞のそれぞれは、独自のミトコンドリアをもっていて、内腔から傍尿細管毛細血管網への分子の能動輸送のためのエネルギーを供給している。 |
尿細管が細くなり、アルファベットの 'U' 字状のネフロン(の)ループ(別名ヘンレの係蹄(けいてい))と呼ばれる構造を呈するようになると、単層扁平上皮が表面を被うようになる。ループのそれぞれには、水分を流出させる下行脚と、食塩(NaCl)を押し出す上行脚がある。実際に、おわかりの如く、この活動によりネフロンと集合管での水分の再吸収が促進されるのである。 遠位尿細管を構成する細胞には無数のミトコンドリアが存在する。しかし、微絨毛を欠いている。このことは、遠位尿細管が、血液から尿細管へ分子を移動させる '尿細管分泌' と呼ばれる積極的な役割をはたしていること と矛盾しない。幾つかのネフロンの遠位尿細管が一つになって一本の集合管に注ぐ。腎臓には多くの集合管が含まれていて、尿を腎盂に運んでいる。 Figure 9.5 に示したように、糸球体嚢と尿細管は常に腎皮質に存在する。ネフロンループは腎髄質にくい込んでいる。2,3のネフロンは非常に長いループをもっていて、腎髄質に深く入り込んでいる。集合管は腎髄質に存在し、腎錐体に線状の外観を与えている。
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1. Glomerular Filtration 糸球体(での)濾過 糸球体濾過は、血液が輸入細動脈と糸球体に入るときにおこる。糸球体内の血圧は、通常 約60mmHgであるが、その圧によって水分と小分子は糸球体から糸球体嚢の中へと移動する。この過程は濾過である。何故なら、大きな分子や血液の有形成分は毛細血管壁を通過することができないからである。つまり、糸球体内の血液は、濾過される成分と濾過されない成分の二つの成分に分けられるのである。
糸球体濾過液には、微小溶解成分が ほぼ血漿と同濃度 溶けている。濾過されずに残った小分子と濾過されない成分は輸出細動脈を通って糸球体から出る。 Table 9.1に示したように、1日に180リットルの水が濾過され、同時に大量のグルコースやアミノ酸のような小分子も濾過される。もしも、尿の成分が糸球体濾過液と同様のものであったら、身体は頻繁に水分や塩類や栄養物を喪失することになる。程なく、脱水、気が、低血圧がおこって死に至るだろう。それ故、濾過液の成分は尿細管の残りの部分を通過する際に変化するのであろうと結論づけることができる。
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2. Tubular Reabsorption 尿細管(での)再吸収 尿細管再吸収は、分子とイオンの両者がネフロンから傍尿細管毛細血管網へと受動的や能動的に再吸収される過程である。血液の浸透圧は、血漿のタンパクと塩類によって維持されている。ナトリウムイオン(Na+)が受動的に再吸収されれば、塩素イオン(Cl-)は受動的に続いて輸送される。食塩(NaCl)の再吸収は、血液の浸透圧を濾過液と比べて高いものに上昇させ、それ故、水分は尿細管から血液へ受動的に輸送される。約67%のNa+が近位尿細管で再吸収される。グルコースやアミノ酸のような栄養物も、近位尿細管から血液へ戻る。この過程は、選択的な過程である。というのも、キャリアー分子により認識される分子のみが能動的に再吸収されるからである。グルコースは、通常 完全に再吸収される分子の一例である。というのも、グルコースを認識するキャリアー分子が潤沢に供給されているからである。しかしながら、どの物質にも輸送可能量の上限が存在し、全てのキャリアーが使用中であれば、濾液に余った物質が尿中に現れる。例えば、再吸収されたグルコースの濃度が 血漿100ml あたり 180〜200mg であれば、残りの成分は尿にあらわれる。糖尿病では、過剰なグルコースが血液中にあらわれ、糸球体濾過液のグルコース濃度も高くなり、尿にも出てくるようになる。原因は、肝や筋がグルコースをグリコーゲンの形で貯蔵することができず、腎臓で全てのグルコースを再吸収することができないからである。糸球体濾過液中に高濃度のグルコースが存在することで、濾過液の浸透圧は血液と比較して高くなり、それ故、傍尿細管血管網への水分の再吸収は減少する。コントロールされていない糖尿病の患者にみられる頻繁な排尿と口渇の上昇は、水分が濾過液に残って再吸収されないことが原因である。 近位尿細管に流入する糸球体濾過液は、二つの分画に分けられる。尿細管から血液へと再吸収される成分 と 再吸収されずにネフロンを通過して更に処理を受けて尿に入る成分に。
再吸収されない物質は尿細管液となり、ネフロンループへと流れ込む。 |
3. Tubular Secretion 尿細管(での)分泌 尿細管分泌は、物質が濾過されて尿細管液に加えられる第二の手段である。1. 水素イオン、2. クレアチニン、3. 例えばペニシリンのような薬物 は、血液から能動輸送によって遠位尿細管へ移行する物質の例である。最終的に、尿には、1. 糸球体濾過を受け、2. 再吸収されず、3. 尿細管分泌によって加えられた 物質が含まれている。 |
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Reabsorption of Water 水分の再吸収 高張な尿(血液よりも濃い尿)の排泄されるかどうかは、ネフロンループ(Henleのループ)と集合管での水の再吸収の行方次第である。 経路の長いネフロンループは、典型的には腎髄質にくい込んだ位置にあり、下行脚と上行脚からなる。食塩(NaCl)は受動的に上行脚の下部より拡散し、上行脚の肥厚した上部では能動的に食塩を髄質の外層の組織に押し出す(Fig. 9.8)。上行脚の肥厚した部分を上昇するにつれ、輸送されることのできる食塩は減少していく。こういった環境により、ネフロンループは腎髄質に於いて浸透圧勾配を形成している。食塩濃度の濃縮は髄質内層の方が強い。(上行脚は水を通さない構造なので水分を喪失しないことを覚えておきたい。) Figure 9.8 をより注意深く観察すると、髄質内層の最内層で溶質の濃度が最大であることにも気付くだろう。このことは食塩が原因ではない、というのも、食塩の能動輸送は上行脚の肥厚部に至るまでは開始しないからである。尿素は集合管の下部で漏出すると考えられており、この尿素分子が髄質内層に於いて溶質の濃度が高い原因となっている。 腎髄質に濃度勾配が存在することにより、水分はネフロンループの下行脚の全長にわたって外に出て行く。これは流れに逆らった機構である。水が下行脚から拡散すると、下行脚内に残った液体は更に浸透圧が高い液体と遭遇する。それ故、水は下行脚の上部から下部に至るまで外に出て行く。 集合管には遠位尿細管からの液体が注ぐ。この液体は、皮質の細胞と等張の浸透圧になっている。水と食塩の再吸収全体の結果、血液と等張の液体が産生されたということになる。しかしながら、集合管に注ぐ濾過液は、前に述べたのと同じ浸透圧勾配の液体と遭遇することにもなる(Fig. 9.8)。それ故、水分は集合管から出て、腎髄質に拡散し、集合管内部の尿は血漿と比較して高張な浸透圧となる。 下垂体後葉から放出される抗利尿ホルモン(ADH)は、集合管での水の再吸収が進むように働く。このホルモンの作用を理解するには、名前から考えると良い。利尿(diuresis)は尿の量が増えることを意味する。そして、抗利尿(anti-diuresis)は尿の量が減ることを意味する。血中にADHが存在すると、水分の再吸収は増え(血液量は増え、血圧は上昇する)、結果として尿量は減る。実際の場合について考えてみれば、ある人がある日水をあまり飲まなかったとすると、下垂体後葉からADHが放出され、水分の再吸収が増えて尿の生成は減少する。他方で、ある人が水を沢山飲んで汗をあまりかかなかったとすると、ADHは放出されない。すると、より多くの水分が排泄されて、尿の生成は増える。 |
Figure 9.8 Reabsorption of water at the loop of the nephrone and the collecting duct. ネフロンループと集合管における水分の再吸収 食塩(NaCl)は、ネフロンループの上行脚から拡散と能動輸送を受けて腎髄質に入る。また、尿素は集合管から漏れて腎髄質の組織に入ると考えられている。このことにより、高張な浸透圧の環境が作られ、下行脚と集合管に於いて水が外に出るようになる。この水分は心血管系に還る。(図の太線は上行脚は水を通さないことを意味している。) |
Reabsorption of Salt 食塩の再吸収 通常、99%以上のナトリウム(Na+)が糸球体で濾過された後、血液に戻る。大部分のナトリウム(67%)が近位尿細管で再吸収され、多く(25%)がネフロンループの上行脚で押し出される。残りは遠位尿細管と集合管で再吸収される。 ホルモンにより遠位尿細管でのナトリウムの再吸収が調節される。アルドステロンは、腎臓の上に存在する副腎の外側の部分である副腎皮質から分泌されるホルモンである。アルドステロンはカリウムイオン(K+)の排泄とナトリウムイオン(Na+)の再吸収を促進する。アルドステロンの放出は腎臓自体の動作によって指令される。傍糸球体装置は輸入細動脈と遠位尿細管の接する領域にある(Fig. 9.9)。血液量は、つまり血圧も、糸球体濾過を促進するのに十分でなければ、傍糸球体装置はレニンを分泌する。レニン は アンギオテンシノーゲン(肝臓で産生される分子量の大きな血漿タンパク)を アンギオテンシンI に転換する酵素である。後に、アンギオテンシンI は アンギオテンシンII に転換される。アンギオテンシンII は協力な血管収縮物質で、副腎皮質から アルドステロン を放出させる刺激もおこす作用もある。ナトリウムイオンの再吸収に続いて水分の再吸収がおこる。それ故、血液量と血圧は上昇する。 |
心房性ナトリウム利尿ホルモン(ANH)は、心臓の細胞が血液量の増加によって伸展された時に、心臓の心房から分泌されるホルモンである。ANHは、1. 傍糸球体装置からのレニンの分泌 と 2. 副腎皮質からのアルドステロンの分泌 を抑制する。ANHの効果は、それ故、Na+の分泌を促進し、ナトリウム排泄増加となる。Na+が分泌されると、水分も排泄されることになり、それ故、循環血液量と血圧が低下する。 示したような例から、腎臓は身体の塩分バランスを、種々のイオンの排泄と再吸収のコントロールをすることで調節していることがわかる。ナトリウム(Na+)は血漿中の重要なイオンで調節される必要があるが、腎臓は他のイオン、例えば、カリウム(K+)、重炭酸(HCO3-)、マグネシウム(Mg++)といったイオンの排泄や再吸収も必要に応じて行っている。 Diuretics 利尿剤(利尿薬) 利尿剤は、尿量を上昇させる薬物である。アルコールを飲めば利尿に働く。それは、アルコールによってADHの分泌が抑制されるからである。アルコール飲用後におこる脱水は、二日酔いの症状のエッセンスである。カフェインは利尿剤である、というのも、糸球体に於ける濾過率を増加させ、尿細管でのNa+の再吸収を減少させるからである。利尿剤は、ネフロンループや集合管におけるNa+の能動輸送を抑制することで患者の高血圧を治療するようにできている。水分の再吸収の減少 と 血液量の減少 が続いておこる。 |
Human Systems Work Together ヒトの系の各々が協調して機能している |
重炭酸イオン緩衝システムと呼吸が協力して働いて、血液のpHは保持される。この機構の中心にあるのは以前にも見たことのある以下のような反応である。
肺による二酸化炭素(CO2)の放出は pHを正常域内に保つのに役立つ、というのも、二酸化炭素が吐き出されると、反応式は右向きになり、水素イオンは水分子の形で取り込まれる。実際、血液のpHが減少すると、頚動脈小体(位置は頚動脈の内頚動脈と外頚動脈の分岐部近辺)と大動脈小体(位置は大動脈弓付近)の化学受容体が呼吸中枢を刺激し、呼吸数と呼吸の深さが上昇する。他方で、血液のpHが上昇し始めると、呼吸中枢は抑制され、血中の重炭酸イオン濃度が上昇する。 この系が強いものであるほど、腎臓は酸性から塩基性まで幅広い物質を身体から取り除くことができる。腎臓は緩衝/呼吸機構と比較して機能が遅いが、pHの調節効果はより強力である。よ〜するに、腎臓は、必要に応じて、重炭酸イオンを再吸収して、水素イオンを排泄することで、血液のpHを正常に保つのである。血液が酸性であれば、水素イオンは排泄されないし、重炭酸イオンは再吸収されない。尿は通常酸性であることから、通常の場合は余分な水素イオンが排泄されていることになる。アンモニア(NH3)は、尿中で水素イオンを緩衝する機能を提供している(NH3 + H+ → NH4+)。アンモニア(存在は おむつバケツ??? や ネコちゃんトイレ??? あぁわかんない から明白)は、尿細管細胞でのアミノ酸の脱アミノ反応で産生される。リン酸は尿中においてもう一つの緩衝剤としての機能を果たしている。 |
Figure 9.10 Acid-base balance. 酸-塩基平衡
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多くの型の疾患が進行性の腎疾患や腎不全の原因となる。尿路感染症には、尿道の感染症である尿道炎、膀胱の感染症である膀胱炎、腎臓の感染症である腎盂腎炎がある。190頁のHealth reading は尿路感染症を予防するための方法を示している。 糸球体の障害により糸球体が阻害され、糸球体濾過がおこらなくなったり、分子量の大きな分子を通過させるようになったりすることがある。糸球体の障害は尿検査によって検出することができる。糸球体の透過性が大きく上昇すれば、アルブミン、白血球、あるいは赤血球すらもが尿中に出現するようになる。しかしながら、尿中にごく微量のタンパクが出現することは問題にするほどの事ではない。 糸球体障害が、糸球体全体の2/3以上が機能しなくなるほどにひどく障害を受けるほどになると、老廃物が血液中に蓄積するようになる。この状態は尿毒症と呼ばれる、というのも、尿素が蓄積する物質群の一つであるからである。体液のイオン組成の不均衡はより重要である、というのも、イオンの不均衡によって意識が消失したり心不全になったりするからである。 腎不全の患者は、腎臓移植手術を受けることがある。ドナーが血縁的に近親者であれば、拒絶反応の可能性は低下する。 |
Hemodialysis 血液透析 腎臓移植を待っている間、(重篤な腎機能障害のある)患者は、おそらく血液透析を受ける必要があるだろう。血液透析は、1. 人工腎臓装置 か 2. 自立歩行可能な持続的な腹膜透析(または、腹腔透析、CAPD) のどちらかを利用することになる。透析は、溶解している分子が半透膜(微小分子のみが通過できる大きさの小孔が開いている人工膜)を通過して拡散する様子と定義される。人工腎臓装置(Fig. 9.11)では、患者の血液は膜でできたチューブを通過する。チューブは透析液あるいは透析物と接触している。血液により高濃度で存在する物質は透析液に拡散し、透析液により高濃度に存在する物質は血液に拡散する。それ故、人工腎臓は、血液から老廃物や毒性化学物質や薬物などの物質を取り出すのにも、例えば血液のpHが酸性に傾いていたら重炭酸イオン(HCO3-)を加えるといったように血液に物質を加えるのにも利用できる。3〜6時間の血液透析で、50〜250gの尿素が患者から取り除かれ、健常人の腎臓が取り除くのよりも多くの量の尿素が取り除かれる。それ故、患者は一週間に二回のみの治療を受ければよい。 CAPDの場合は、恒久的な埋め込みチューブに接続したバッグから、新鮮な大量の透析液を直接腹腔に注入する。老廃物と食塩分子が腹腔壁の血管から透析液に移行し、4〜8時間後に透析液は回収される。装用者はCAPDを行っている間、他の血液透析とは異なって通常の生活動作を行うことができる。 |