週間情報通信ニュースインデックスno.1548 2026/10/24


1.AIで通信トラフィックが激変、モバイル網に迫る大規模な構造転換の行方(10.23 日経XTEC)
 AI(人工知能)が社会全体に大きな影響を与えるようになってきたが、それはモバイル通信も例外ではない。今後の利用拡大で通信トラフィックの量や流れ方が劇的に変化すると見られ、携帯電話会社や通信機器ベンダーらは備えを急いでいる。一体何が変わろうとしているのだろうか。

 AIの話題に事欠かなくなった2026年。生成AIがサイバー攻撃の担い手に悪用されている可能性も指摘されており、AIが社会生活の様々な場面に大きな影響を与えつつあることが分かる。

 通信トラフィックは年々増加傾向にあり、とりわけスマートフォンでの動画視聴が増えて以降、通信量は大きく伸びてきた。ただ従来は人の利用に伴う通信が中心であり、多くの人の活動時間帯に動画主体のダウンロード通信が増えるなど、トラフィックの予測は比較的しやすかった。

 たが今後はAIの利用が加速度的に増加し、AIが目的に従い自律的に行動するAIエージェントや、AIをロボットなどのハードウエアに統合して自律的に行動させるフィジカルAIなどの利用が拡大すると見られている。そうなると、人による操作に加えてAIが自律的に通信する機会が増え、トラフィックの傾向にも大きな変化が出てくるのではないかと見る向きが増えているのだ。

フィンランドのNokia(ノキア)によると、現在のAIはチャットなどの利用が主だが、今後AIエージェントの普及、そしてフィジカルAIの広がりで通信トラフィックは指数関数的に伸びるとしている。

 具体的には、1つにアップロードの通信が増えることだ。先にも触れたように、従来のモバイル通信はダウンロードが主体だったが、クラウドで推論するAIでは、端末側で取得した様々な情報を送るため、従来以上にアップロードの通信が増えるとの見方が広まっている。

 特にフィジカルAIの処理をクラウド側で担う場合は、カメラから得た写真や動画などを頻繁にアップロードしてAIに判断させることが想定される。そうした機器を多数、同時に動作させれば、非常に多くのデータをアップロードする必要が生じる。

 そしてもう1つ、AIが大きな変化を生じさせると見られているのが、トラフィックが生じる時間である。人の利用が中心だった従来であれば、昼休みや通勤・通学の時間帯などにトラフィックが集中し、深夜などは逆にトラフィックが大幅に減るなど、傾向がある程度定まっていた。

 だがAIは人が操作していない時間帯にも自律的に活動できるため、昼夜を問わずトラフィックを生み出し、その傾向も不規則で予測しにくくなる可能性がある。今後の通信品質対策は従来通りとはいかず、AIに合わせた新しい対策が必要とされているわけだ。

 中でも通信機器ベンダーが力を入れているのは、ネットワークの中でAIの処理を最適化することだ。現在、AIの推論処理にはクラウドが広く使われており、プライバシーを重視した処理など一部をユーザーのデバイスで担う形も取られている。

 この推論処理を携帯電話の基地局など端末により近い場所で実行できるようになれば、通信距離の短縮による遅延の低減やクラウドの負荷軽減など多くのメリットが期待できる。これは、かつて5G(第5世代移動通信システム)で注目されたMEC(Multi-access Edge Computing)に近い考え方といえる。

 ミリ波は主として30〜300GHzの周波数帯を指すが、日本ではNTTドコモやKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯4社に割り当てられている28GHz帯もミリ波と呼ばれる。高速・大容量通信に適する一方、電波の直進性が高く、障害物の影響を受けやすい。結果としてネットワーク整備や対応デバイスの開発が進みにくく、利用が限定的な市場も多い。

2.iPhoneの「アシスティブアクセス」で大きく表示、画面遷移も誤操作しにくい(10.23 日経XTEC)
 iPhoneの文字が見づらかったり、思ったところをうまくタップできなかったりして、不便を感じたことはないだろうか。あるいは、高齢の家族が以前よりiPhoneの操作に戸惑う場面が増えたと感じる人もいるだろう。

 iPhoneにはそのような悩みを解決する「アシスティブアクセス」という機能がある。単にアイコンやボタン、テキストが大きく表示されるだけではない。ダブルタップや長押し、スワイプといった複雑な操作を減らし、基本的にはボタンをタップするだけで操作できるよう、画面やユーザーインタフェース(UI)を変更する。全てのアプリで利用できるが、対応アプリではアシスティブアクセスに最適化された専用画面が用意されており、よりスムーズに操作できる。

3.ローカルLLMに最適な専用機を検討、候補はMac miniとAMD搭載Windows機(10.23 日経XTEC)
米OpenAI(オープンAI)や米Anthropic(アンソロピック)といった人工知能(AI)モデルのベンダーが提供するサービスやAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を利用すれば、高い性能を持つフロンティア(最先端)モデルを利用できる。ただし提供側の都合で、料金や利用可能な形態が一方的に変更されることもある。そこで注目を集めているのが、ユーザーの環境で大規模言語モデル(LLM)を実行する「ローカルLLM」だ。

 先日、AIエージェント基盤「OpenClaw」で動かしていたエージェントが急に動かなくなった。エラーメッセージを見ると「ChatGPTアカウントのCodexではGPT-5.5はサポートされていない」と書いてある。

 このエージェントは、小型コンピューター「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、通称ラズパイ)」の上で動作している。モデルとしては、有料サービス「ChatGPT Plus」に含まれるソフトウエア開発エージェント「Codex」経由で「GPT-5.5」を利用していた。

 ローカルLLMを利用すれば、こうした懸念を減らせる。エージェントで利用しているモデルが誰かの都合で使えなくなることは基本的にないし、新しいモデルを使いたくなれば好きなタイミングで切り替えられる。ローカルLLMの常用環境の構築を真面目に検討することにした。

 以前、16Gバイトのユニファイドメモリーを搭載したノートパソコン「MacBook Air」でローカルLLMを動かしたことがある。中国Alibaba Cloud(アリババクラウド)のオープンウエートモデル「Qwen(クウェン)」をベースにした「Qwen3-14B-MLX-4bit」を利用した。

4.AI進化の代償は「セキュリティーコスト爆発」、警戒が必要だ(10.23 日経XTEC)
 AI(人工知能)が進化して様々な恩恵を受けるようになった代償として、企業が負担を強いられるセキュリティーコストの規模感が明らかになってきた。急増するサイバー攻撃は、まだ始まりに過ぎない。AIの活用が広がるほど、負担すべき費用も増加する見込みだ。

 米国の大手金融機関である米Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)は2026年10月14日に発表した2026年7〜9月期決算の電話説明会(カンファレンスコール)で、米Anthropic(アンソロピック)の「Claude Mythos」などが見つけた情報システムの脆弱性に対応するために、1000人の外部コンサルタントを投入したことを明らかにした。

 バンカメは2026年7〜9月期に、マネーロンダリング(資金洗浄)対策と、Mythosが見つけた脆弱性に対応するシステム改修のために、2億ドルの追加コストが発生したと明らかにしている。

 そして今後は、あらゆる企業がバンカメのような対策を強いられることになる。特に急務なのは、自社の情報システムにどのような脆弱性が存在するのか把握することだ。

 企業での導入が進むAIエージェントについてもセキュリティー対策が必要だ。「Claude Code」に代表される最新のAIエージェントは、業務を遂行するためにコンピューター上で様々なツールを実行する。AIエージェントが使うコンピューターにも、人間が使うコンピューターと同様にEDR(エンドポイント検知・対応)のような監視ツールを導入する必要があるだろう。

5.安藤ハザマとNTTなど、IOWNによるトンネル建設現場の遠隔施工管理を実証(10.19 日経XTEC)
安藤ハザマとNTT、および富士通グループのネットワーク事業会社である1FINITYは2026年10月19日、次世代情報通信基盤「IOWN」を活用した遠隔施工管理基盤の実証実験を山岳トンネルの建設現場において実施したと発表した。トンネル坑内から映像や3次元計測データなどの大容量データを遠方のオフィスやデータセンターへ伝送し、遠隔からの監視や検査を可能にすることを目指す。3社は2027年度以降、段階的な実運用に向けて検証を進める。

 山岳トンネルの建設現場では振動や粉じん、湧水などが発生するため、一般的に通信機器を設置する場所とは環境条件が大きく異なる。遠隔施工管理を実現するには、高精細の映像や3次元計測データなどの大容量データを、リアルタイムで安定して伝送できるようにする技術が必要だった。

 実証実験に当たり、施工中のトンネル坑内に光ファイバーケーブルを1100m敷設し、トンネル工事の最奥部(切羽)から、100m間隔で6台の光伝送装置を設置した。IOWNの中核技術の1つである「APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」を模した環境により、1000km離れた遠隔監視拠点を想定した通信環境を構築した。実証実験は2026年3月9日から13日にかけて実施した。

 実証実験では、15台のカメラに相当する映像監視データの通信を継続しながら、約20GBの3次元計測データを坑内から現場事務所まで約1分間で伝送できた。また、1000km離れた拠点を模擬した遠隔検査を実施。4K映像と音声を伝送し、トンネル坑内にある幅0.2mmのひび割れを目視で発見できることを確認した。AI(人工知能)画像解析によるひび割れ検出にも成功した。

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