週間情報通信ニュースインデックスno.1547 2026/10/17


1.Anthropic Japan、開設1年でClaude導入企業10倍超 サイバー防御は速度重視(10.15 日経XTEC)
米Anthropic(アンソロピック)の日本法人Anthropic Japanは2026年10月14日、東京オフィス開設1年に際して記者説明会を開いた。説明会には日本法人の東條英俊社長に加え、アンソロピック共同創業者兼公共利益部門責任者のジャック・クラーク氏が登壇。国内における同社AI(人工知能)モデル「Claude」の導入企業が10倍超に拡大など、順調な成長ぶりをアピールした。急増するサイバー攻撃については、スピード感を持った対応が求められると説明した。

2.未曽有の情報漏洩 開いた「パンドラの箱」、AIでサイバー攻撃にコスト革命(10.14 日経XTEC)
大規模な情報漏洩事件が相次いでいる。漏洩件数が100万件を超えるような事件が連日報告されている。だが奇妙なことに、攻撃の手口は1つではない。原因として考えられるのがAI(人工知能)の普及だ。AIがサイバー攻撃のコストを大幅に引き下げている可能性がある。

 類似の被害が相次ぐサイバー攻撃は過去にも存在する。2005〜2010年のSQLインジェクション攻撃、2013〜2018年のパスワードリスト攻撃、2019〜2022年のマルウエア(コンピューターウイルス)のEmotet(エモテット)攻撃などが挙げられる。

 いずれも共通の手口があり、何が起きているかが比較的分かりやすかった。だが、今回の攻撃は異なる。結果として大規模な情報漏洩につながるケースが相次いでいるが、手口は様々なのだ。セキュリティー組織のJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)によれば、以下のような手口が確認されているという(2026年10月9日時点)。

・様々なソフトウエアの既知の脆弱性や設定不備を探索して攻撃を試行
・アプリケーションの管理用API経由で不正な操作を試行
・MetabaseのSQLインジェクションの脆弱性を悪用
・公開Webサーバーからアクセス可能なアプリケーションサーバー上にWebシェルを設置
 長年取材する中で、技術力の高い攻撃者に狙われれば、多くのWebサイトは侵入される可能性があるとの話を多くのセキュリティー専門家から聞いてきた。このため、ある程度セキュリティー対策を施しているWebサイトであっても、わずかでも脆弱性や設定・実装の不備などがあれば、不正アクセスを許してしまう。だが手間がかかるWebサイトでは攻撃者にとって採算が取れないため、攻撃対象は限定されてきた。

 その状況をAIが変えた。サイバー攻撃のコストを大幅に下げたのだ。一連の攻撃でAIが使われているという確かな証拠はない。しかし一方で、「攻撃者がAIを使わない理由はない」と、取材に応じてくれた専門家の多くは口をそろえる。実際、脆弱性探索や侵入テストを自動化するAIエージェントも公開されている。

 日本のWebサイトを攻撃するには、日本語を読み、会員登録し、画面遷移を理解しなければならない。こういった作業コストが、従来は攻撃対象として敬遠される要因になっていた。S&Jの三輪信雄社長は「人間の攻撃者なら効率を考える。面倒なWebサイトは後回しになるが、AIはそうではない」と指摘する。

 現在進行中の大規模情報漏洩は、その序章に過ぎない。これまで攻撃対象にならなかった無数のWebサイトが突然標的になる。それは攻撃手法の革命ではない。攻撃コストの革命である。

3.データセンターのネットワークはAI時代の将棋と同じ道を歩むのか(10.13 日経XTEC)
ネットワーク分野で最近衝撃を受けた話題といえば、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)が自社ネットワークを「ぐちゃぐちゃ」な構造に変更しつつあることだ。現在の主流である木構造による階層型の「きれい」なネットワークよりも、通信速度や輻輳(ふくそう)しにくさなどに優れるという。今後のデータセンター(DC)ネットワークを抜本的に変えうる革新的な取り組みだが、筆者は趣味の1つである将棋に近年起こったある変化が頭に浮かび、一抹の不安を覚えた。

 筆者が数十年前に将棋のルールを覚えた当時は、見た目にきれいな配置が推奨されていた。王将を守る「囲い」をつくり、その囲いに王将を移動してから戦端を開く要領である。代表的な囲いで「将棋の純文学」などとも称される「矢倉囲い」を例に取ると、金将や銀将といった守りに有効な駒が連結し、見た目にも美しい配置である。

 この「常識」は、AI(人工知能)が現在ほどは強くなかった十数年ほど前までおおむね通用していた。ところがAIが浸透した現代では、お世辞にもきれいには見えず、初心者同士の対局と言われても信じそうな、ぐちゃぐちゃな駒の配置で戦いが始まることがプロ棋士同士の対局でも増えた。人間の常識や美意識にとらわれないAIが少なくない影響を与えている。AIによって常識が覆された格好だ。

 この変化が、AWSが開発したぐちゃぐちゃなネットワーク「RNG(Resilient Network Graphs)」と重なって見えた。「人間にとって分かりやすい形が最適解とは限らない」という点が共通するからだ。

 また、DC事業者がぐちゃぐちゃなネットワークを採用したとしても、一般企業のユーザーが意識する必要はまずないはずだ。DC事業者がサービスを提供する際は、仮想化技術によって抽象化している可能性が高い。

4.2週間使った「iPhone 18 Pro」、外観はほぼ同じだが機械式絞りが楽しい(10.13 日経XTEC)
今回は、新たに発売された米Apple(アップル)の「iPhone 18 Pro」をレビューする。発売当日に購入し、2週間ほど使い込んだので、その感想をお届けしていきたいと思う。

 僕が購入したのはiPhone 18 Proで、18 Pro Maxではないほうを選んでいる。数世代前にはMaxを使っていた。バッテリー駆動時間が長く、画面も大きいのは良いのだが、重さに耐えかねてProに切り替えたのだ。

 iPhone 18 Proのパフォーマンスを除く進化点は、カメラに機械式の絞りが追加されたことだろう。そもそも現在、ほとんどのスマホがポートレートモードで周囲がぼけた写真を撮影できる。だが、ソフトウエアによる処理ではなく、レンズを通る光の量を調整できる機械式の絞りはカメラ好きにはたまらない機能だと思う。

 実際に背景をぼかした写真を撮影してみても、ポートレートモードではやや不自然になるところが、絞りを開放して撮るときれいにぼける。また、ライトなどの光源を美しく写すこともできる。

 Apple Intelligenceの新機能であるAI(人工知能)による写真編集には相当に驚いた。撮影したあとに写真の構図を変えられる「リフレーム」と、写っていない部分をAIで補う「拡張」が標準機能として搭載されている。これらはiOS 27の機能で、同OSに更新したiPhone 17 Proなどでも利用できる。待ち時間もさほど長くなく、その効果も抜群で、これはかなり使いこなせると思っている。

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