週間情報通信ニュースインデックスno.1509 2026/1/10


1.NVIDIA、ファンCEO「人間並みに賢いロボットが今年登場」(1.9 日経XTEC)
米NVIDIA(エヌビディア)はCES 2026で、次世代GPU(画像処理半導体)アーキテクチャー「Rubin」とCPU(中央演算処理装置)「Vera」を用いた新型チップの量産開始を明らかにしたほか、自動運転用のAI開発基盤「Alpamayo」やドイツSiemens(シーメンス)との提携強化を発表した。2025年1月6日(現地時間)にエヌビディアのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)が記者会見し、報道陣の合同取材に応じた。主な質疑応答は以下の通り。

 今日AIによって生成されているトークンの4分の1がオープンモデル由来だった。このオープンモデルの成長が当社ならびにパブリッククラウドの需要を大きく押し上げている。中国市場への供給再開も需要を後押しするだろう。総合的に見れば、非常にポジティブに見通している。

 中国向けのH200の生産は既にフル稼働の状態だ。現時点では中国市場で競争力があるが、将来的には維持できないだろう。H200が競争力を失う前に新たな製品を投入できるよう願いたい。輸出入規制について言えば、米国が国際競争力を維持するために規制も進化する必要がある。静的な規制は理にかなわない。「(現行世代である)Blackwellアーキテクチャーの対中輸出は許可されるか」との問いには「いずれ理にかなう形になる」と答えておく。



2.AIエージェントも「既製品」の時代、MetaによるManus買収が起爆剤に (1.9 日経XTEC)
 AI(人工知能)がタスクを遂行するAIエージェントは2026年、企業における導入が加速しそうだ。従来はユーザー側が特定のタスクが遂行できるAIエージェントを開発する必要があったが、今後はベンダー側がタスクを遂行する能力をつくり込んだ「既製品」のAIエージェントを使う機会が増えそうだ。

 AIエージェントは非常に新しい技術であるため、自社に合った業務を遂行できるAIエージェントをユーザー自身が開発する必要があったのは自然なことである。「Dify」や「Copilot Studio」などは、個別のAIエージェントを開発・実行する製品だ。

 2025年は、企業がAIエージェントをどれほど開発しようとしているか、その数が大きな話題になった。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は2025年7月に、グループで10億件のAIエージェントを開発・活用する方針を発表。実際に同社では2025年6月からの2カ月半で、250万件を超えるAIエージェントがつくり出されたという。

 ソフトウエア開発の全工程でAI(人工知能)を活用し、生産性と品質を高める「AI駆動開発」が普及し始めている。AI駆動開発を取り入れたシステム開発支援を手掛けるクリエーションラインの荒井康宏取締役兼最高技術責任者(CTO)は、「2027年頃には、人間がソースコードを書くことが考えられない時代になるだろう」と言う。

 2026年は、既製品のAIエージェントを活用する機会が増えそうだ。その起爆剤となりそうなのが、米Meta(メタ)が2025年12月29日(米国時間)に発表したシンガポールに拠点を置くManus(マナス)の買収だ。

 マナスが提供するAIエージェントの「Manus」は、様々なタスクを遂行する能力があらかじめつくり込まれた汎用型エージェントだ。ユーザーはプロンプトを入力するだけで、Webアプリケーション開発や図版デザイン、スライド作成、Webサイトからの情報収集などのタスクを実行できる。

3.データセンターがますます高速化、セキュリティーは「AI対AI」時代に (1.7 日経XTEC)
 新春に当たり、2026年のネットワーク分野とセキュリティー分野を展望したい。まずネットワーク分野でいえば2026年はデータセンターの高速化が一層進む1年になるだろう。

 ネットワーク分野の国内技術に目を向けると、NTTグループが推し進める次世代ネットワーク基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)」で光電融合スイッチが2026年度中に商用化されることに注目したい。またランサムウエア攻撃の被害続出で注目が高まるセキュリティー分野では、「AI(Artificial Intelligence:人工知能)対AI」のサイバー攻防が静かにそして着実に広まっていくと見ている。以下、それぞれ見ていこう。

 データセンター高速化が見込まれる背景には、取りも直さず生成AIの普及がある。生成AIは学習の際に大量のデータをGPU(Graphics Processing Unit:画像処理半導体)間でやり取りする必要があり、そのためデータセンターにはGPUサーバーをクラスター構成にした「GPUクラスター」がずらりと並んでいる。

  そうしたRoCEv2の「弱点」を解消するために開発が進められている規格がUltra Ethernet(ウルトライーサネット)だ。2023年7月にコンソーシアムが設立され、2025年6月に規格の第1版が、同年9月に改訂版の1.0.1版が公開された。コンソーシアム参加企業は米Cisco Systems(シスコシステムズ)や米Microsoft(マイクロソフト)など100社を超えている。

 次の展望に話を移そう。NTTグループが取り組むIOWNでは「光電融合技術」を使ったスイッチの商用化が2026年にも始まる点に注目したい。光電融合技術とは、これまでの電気による処理を光による処理に置き換えていく技術のことだ。

 前者のAPNとは、「ネットワークから利用者の端末まで全てに光技術を適用する」というコンセプトに基づいたネットワーク技術である。現状のネットワークと比べて、「電力効率100倍」「伝送容量125倍」「遅延時間200分の1」を掲げる。

4.5G搭載法人ノートPCで企業網へのVPN接続が不要に (1.7 日経XTEC)
社内ネットワークに接続するために、VPN(Virtual Private Network)の起動やテザリングの接続をする――。そんな日常が過去のものになるかもしれない。5G(第5世代移動通信システム)とeSIMを搭載したノートPCを組み合わせることで、物理的な社内LANやVPNを不要にし、PCを開けば即座に安全な閉域網へつながる。そんな未来が目前に迫っている。

 ポイントは、企業が自前で構築・維持していたVPN装置を、キャリアが提供する5Gネットワークに置き換える点だ。PCはeSIMの情報に基づき、インターネットに接続することなく、企業のネットワークに接続される。PC利用者はWi-Fiを探したり、テザリング設定をしたりする手間から解放される。ソフトバンクの試算によれば、1日10回程度の接続を行う営業職の場合、従来の手順と比較して月当たり約7時間の工数削減が見込めるという。こうすることで、社内のLANやWi-Fi網の整備も不要になる。

 5G回線費用や対応端末の導入コストは増加するものの、社内のWi-Fi設備やサーバーなどのインフラを全て置き換えた場合、TCO(総保有コスト)は「約50%削減できる可能性がある」(エリクソン・ジャパンソフトバンク事業統括本部新規ビジネス推進本部本部長の滝沢耕介氏)。大企業であればスケールメリットが利きやすく、IT担当者が不在になりがちな中小企業にとっても、自前でのインフラ整備・運用から解放される。

 IT管理者にとってのメリットも大きい。ユーザーがVPN接続しない限り企業ネットワークからは管理できないこれまでと異なり、5Gで必ず企業ネットワークに接続されるようになれば、常にPCはIT管理者の管理下に置かれる。OSが起動していない状態でも通信を維持し、端末紛失時に遠隔でデータを消去するといった機能も実装されている。

 セキュリティー面では、「ゼロトラスト」の思想に基づいた運用を実現できる。不特定多数が利用するインターネットを経由せず、モバイルキャリアの閉域網を通じて企業のゲートウエーやクラウドへ直接接続するため、通信経路の安全性が担保される。

 導入の前提となる5G対応ノートPCの普及も進む。スウェーデンEricsson(エリクソン)の予測では、2030年までにその数は1億台を超える見込みだという。加えて、デバイス認証に必要なeSIMの標準化は既に完了しており、遠隔からの情報書き換え機能が実装されたPCも、販売され始めている。

 国内では、ソフトバンクがエリクソンと共に開発に注力する。2022年頃から共同研究を開始し、エリクソンの横浜オフィスを含む拠点とソフトバンクの社内で検証中だ。モバイル業界最大級の展示会「MWC」でも、エリクソンのブースでこの取り組みを紹介していた。滝沢氏によると、「日本でも近い将来にサービス開始を計画している」と言う。

5.イーロン・マスク氏が仕掛ける無労働社会、半導体確保がカギ (1.5 日経XTEC)
2026年は、半導体産業において米Tesla(テスラ)の存在感が高まる年になると予測する。最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が「テスラの今後のサービスのために先端半導体の製造能力が足らない」と言い始めているからだ。

 現在同社は、自社設計のAI(人工知能)半導体の製造を台湾積体電路製造(TSMC)や韓国Samsung Electronics(サムスン電子)に委託しているが、「これだけでは足らない」と米Intel(インテル)への委託も交渉中のようだ。それでも、同氏が考える量は確保できないようだ。「将来は自らテラファブ(巨大なチップ工場)を持たねばならないかもしれない」と2025年11月に開催されたテスラの年次株主総会でマスク氏は語っている。

 2026年にはテスラのインテルへの半導体の製造委託、さらには、自らの半導体製造能力を保持するためにインテルのファウンドリー事業を買収するといったニュースも飛び出してくる可能性がある。

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