週間情報通信ニュースインデックスno.1503 2025/11/22


1.ランサム攻撃で出荷を停止したアスクル、システム再構築で12月に本格復旧へ(11.21 日経XTEC)
ランサムウエア攻撃により倉庫管理システムの停止を余儀なくされた。自社のEC事業の他、子会社が請け負う他社の物流事業も停止。ハッカー集団の犯行声明からは、顧客情報の流出も明らかになっている。手作業で受注や出荷業務を再開したが、対象商品や顧客は限られている状況だ。本格復旧を目指し、システムを再構築する計画を発表した。

 「長期にわたり多大なご不便とご心配をおかけしておりますことを、心より深くおわび申し上げます」。アスクルの吉岡晃社長CEOは2025年10月29日に公開したプレスリリースでこうコメントした。復旧については「安全性を確認しながら、全社一丸となり、一日も早い完全復旧にむけ全力で取り組んでまいります」(吉岡社長)とした。

 アスクルは2025年10月19日、ランサムウエア感染により倉庫管理システム(WMS:ウエアハウス・マネジメント・システム)が稼働できなくなり、受注や出荷業務を停止した。

 顧客情報の流出も発表しているが、流出した件数は明らかにしていない。また発表したもの以外にも情報が流出している可能性を認識しており、調査を続けているという。

2.シャープなど実証、5G-Advanecd対応の衛星通信ネットワーク (11.3 日経XTEC)
ドイツRohde&Schwarz(ローデ・シュワルツ)は、3GPP(Third Generation Partnership Project)リリース19に準拠する5G-Advanced NTN(非地上系ネットワーク)技術の実証実験に成功した。同社によると世界初の試みだとしている。英Eutelsat OneWeb(ユーテルサットワンウェブ)の地球低軌道(LEO)衛星を使って、Ku帯の50MHz帯域幅を用いたハンドオーバー(接続する基地局を切り替える機能)などを実験した。

 シャープが開発したNTN対応のユーザー端末が、ESA(欧州宇宙機関)のESTEC(欧州宇宙技術研究センター、オランダ・ノールトウェイク)ゲートウェイアンテナを介して、衛星経由で地上の5Gコアに接続できることを確認した。台湾MediaTek(メディアテック)のKu帯対応NR-NTNチップセット、台湾ITRI(台湾工業技術研究院)のNTN試験用5G基地局、Rohde&Schwarzの試験装置も使用することで実現した。

3.日本企業も「エージェンティックコマース」に備えよ、AIがお客様の時代に(11.21 日経XTEC)
AI(人工知能)エージェントが購買行動を担う「エージェンティックコマース(Agentic Commerce)」の時代がやって来た。まずは消費者市場(BtoC)で先行しそうだが、すぐに企業間取引(BtoB)の世界でも「AIエージェント同士が取引交渉する」シーンを目にすることになりそうだ。

 米国では既に、エージェンティックコマースが現実のものになった。米OpenAI(オープンAI)が2025年9月に始めた「Instant Checkout」で、ChatGPTのチャットの中で商品の購入が完結する。米Walmart(ウォルマート)が対応を表明しており、一気に普及しそうな勢いだ。

 日本でも三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が2025年11月12日、オープンAIが策定したエージェンティックコマースのプロトコルである「Agentic Commerce Protocol (ACP)」にMUFGの各種決済サービスを対応させる計画であることを発表した。ChatGPTのInstant Checkoutでユーザーが商品を購入する際の決済手段として、MUFGのクレジットカードなどが利用できるようになる予定だ。

 まずセールスについてシャイベンライフ氏は「企業はウォルマートがオープンAIに対して行ったように、自社のデジタル・コマース・プラットフォームやWebサイトについて、AIエージェントからのリクエストを受け入れて、取引できるよう修正する必要がある」と語る。

4.NTTと東芝、IOWNとクラウド型PLCで300km先の生産設備を高速制御(11.17 日経XTEC)
NTTと東芝は、NTTの次世代情報通信基盤「IOWN(Innovative Optical & Wireless Network)」技術と東芝のクラウド型PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)を活用した遠隔制御実験を実施し、約300km離れた拠点から制御周期20ミリ秒以内での制御に成功した。この遠隔制御技術が実用化できれば、PLCの設定情報をクラウド上でメンテナンスすることにより生産ラインの設定を変更できるようになる。現地に担当者を派遣するのに比べて工数を削減でき、複数の工場をまたいだ生産性向上も期待できるという。

 共同実験では、NTTのIOWN構想の中核技術であるAPN(All Photonics Network)とRDMA(Remote Direct Memory Access)アクセラレーション技術、東芝が開発したクラウド型PLC「Meister Controller Cloud PLCパッケージ typeN1」を使用した。両社は、NTT武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)に模擬環境を構築。300km離れた工場に設置された生産設備をクラウド型PLCで制御し、制御周期20ms以内の遠隔設備制御に成功した。

 さらに実験では、NTTドコモソリューションズ(東京・港、旧NTTコムウェア)の画像認識AI(人工知能)ソリューション「Deeptector」とRDMAアクセラレーション技術を用いた製品の外観検査も実施した。その結果、1設備につき250ミリ秒でのAI外観検査に「製造業界で初めて」(NTT、東芝)成功。300km離れた地点間でもローカル環境と同等の水準で外観検査を実施できたとする。外観検査AIのクラウド移行により、「クラウドの柔軟性を生かした運用が実現」(同)し、複数工場での品質の標準化も可能になるという。

5.多様な生成AIが既に開発現場に定着、約8割がAIで生産性向上と回答 (11.19 日経XTEC)
生成AI(人工知能)を活用してソフトウエア開発を効率化する動きが本格化してきた。今では多くの開発現場で標準的なツールとして定着しつつある。米GitHub(ギットハブ)が提供するコード補完サービス「GitHub Copilot」は企業への導入が進み、他にも多様な開発支援ツールが登場している。

 実際の開発現場で生成AIはどの程度利用されているのだろうか。日経クロステックが実施したアンケート調査「プログラミング言語利用実態調査2025」では、ソフトウエア開発における生成AIの利用状況を尋ねた。今回はその結果を紹介する。

 GitHub Copilotをソフトウエア開発に利用しているかどうかを尋ねた結果、「自己負担で利用している」と回答した人は166人中21人(12.7%)、「会社負担で利用している」と回答した人は22人(13.3%)で、合わせて43人(25.9%)が利用していた。GitHub Copilot以外の同様のサービスを利用している人も36人(21.7%)おり、47.6%の人が何らかのサービスを利用していた。

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