1.ANAの空飛ぶクルマ、「静かすぎて気付かれず」 万博デモ飛行で手応え(10.17 日経XTEC)
「離陸5秒で音がふっと聞こえなくなる。万博会場のそばで高度150mを飛んだが(来場者に)気付かれず、アナウンスで周知をお願いしたくらいだ」――。こう語るのは、ANAホールディングス(ANAHD)の保理江裕己氏(未来創造室モビリティ事業創造部エアモビリティ事業チームマネジャー)である。2025年10月16日、大阪・関西万博で披露した電動垂直離着陸機(eVTOL)、いわゆる空飛ぶクルマによる飛行デモンストレーションの成果を語った。
ANAHDは、eVTOLを開発する米Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)と協業し、日本で航空(エア)タクシーサービスを提供する合弁企業の設立を目指している。eVTOLでは電池とモーターでプロペラを駆動する。飛行機のような水平飛行とヘリコプターのような垂直離着陸の両方を兼ね備えており、日本を含む世界で導入検討が進む。長い滑走路が不要で、かつヘリコプターに比べて静かなことが利点だ。
大阪・関西万博では、ジョビー・アビエーションが開発する5人乗りの機体「Joby S4」にANAHD仕様の塗装を施し、時速200kmを超える飛行や離着陸の様子を来場者に見せた。デモは24回に及び、石破茂首相や吉村洋文大阪府知事なども見学に訪れた。
2.「2025年はRedCap対応が加速」、Omdiaの最新調査
(9.30 日経XTEC)
調査会社Omdia(オムディア)は、最新リポート「5G in IoT」にて、2025年には5G SA展開に加えてRedCap(Reduced Capability)対応デバイスの採用が飛躍的に伸び、さまざまな業界でIoT(モノのインターネット)アプリの導入が加速すると予測した。
同年9月に米Apple(アップル)が発売した「Apple Watch Series 11」にRedCap機能が搭載されたことに加え、今後、中国において政府が助成金を出すことで市場が急成長するとしている。なお、同年9月にOmdiaが発表した「IoT Enterprise Survey 2025」では、回答者の33%がIoT化を進めるにあたってセキュリティー面での対策を最重要課題として挙げているが、これについてはプライベート5Gを使った対策が進んでいるとしている。
3.英国宇宙局、衛星通信プロジェクト開始 パナソニックも連携(9.30 日経XTEC)
英UK Space Agency(英国宇宙局)は、宇宙を舞台にした国際的なパートナーシップを強化し、経済成長を促進するための23件の新プロジェクトを発表した。オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、リトアニア、米国のパートナーと協力したこれらの活動には、参加する英国の企業や大学に対して合計650万ポンドが提供される。
プロジェクトの内容は非地上系ネットワーク(NTN)から月面農業、人工衛星軌道上の脅威検出、バイオテクノロジー製造、医学研究、深宇宙レーダーまで多岐にわたる。日本の企業が関わる活動としては、英国の衛星スタートアップOpen Cosmos(オープンコスモス)とパナソニックが連携し、衛星を活用した高速な監視とデータ収集に最適な周波数帯の探求プロジェクトが採用されている。
4.SpaceX一強に風穴、衛星通信の勢力図が変化 日本では「空飛ぶ基地局」も
(10.16 日経XTEC)
2026年、通信分野で大きく動くのが衛星通信だ。現状、米SpaceX(スペースX)の通信サービス「Starlink(スターリンク)」の一強だが、2026年には、これに対抗するサービスが続々始まる。米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)のProject Kuiper(プロジェクト・カイパー)、欧州による米国主導への対抗サービス、そして日本発の「空飛ぶ基地局」だ。
各社は、非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)によるサービス提供を、他社との差別化要因として活用しようとしている。
NTNの最大のターゲットは、地上の移動通信にアクセスできない地域に住む約26億人の人々だ。日本では、人口カバー率がほぼ100%に達しているものの、山間部や離島が多いため、地上系ネットワークの面積カバー率は約60%にとどまる。NTNは、地上系ネットワークがない場所にカバレッジを拡大するために活用される。加えて、大規模地震や豪雨などによる地上インフラの損壊や故障に対する支援として、NTNの活用が必要不可欠となる。
5.現場主体になりにくかったDX、生成AI活用で二の轍を踏んではならない理由
(10.14 日経XTEC)
過去10年、日本企業は「DX(デジタル変革)」という旗印のもとに多額の投資を行ってきました。経済産業省の調査でも、2018年以降、国内のDX関連投資は拡大傾向にあることが示されています。各社が「デジタル技術で業務を変革する」ことを掲げ、大規模なシステム刷新や、AI・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入実験を繰り返しました。 半面、スイスに拠点を置くIMD(国際経営開発研究所)が発表する「WORLD DIGITAL COMPETITIVENESS RANKING(世界のデジタル競争力ランキング)」では日本の順位は必ずしも上昇しておらず、多くの企業では「投資に見合った成果が十分に得られていないのではないか」との見方もあります。
大きな理由の一つが、トップダウン偏重の進め方です。多くの企業は経営層の号令のもと、DX推進室などの専門部署が、先行して取り組むパイロット部門を選定し、DXプロジェクトを始めました。その際、現場社員の動機づけが十分とはいえないケースも少なくありませんでした。「やらされ感」の中で進む施策は持続性を欠きます。
コンサルティングファームに知見や設計を依存したことも、追い打ちをかけました。導入の初期こそ一定の成果が出ても、ノウハウや技術が社内に蓄積されず、社員自身が考え、試行錯誤して変革を進める力が育たなかったのです。
DXという言葉そのものの曖昧さも問題を複雑化させました。「デジタル技術で業務を変える」と言っても、具体的にどの技術を使い、何をどう変えるのかを理解している人は多くありませんでした。
このように、トップダウンの施策によるDXでは十分な成果を出せないことが身にしみた日本企業は多かったでしょう。生成AIでも同じやり方を踏襲すると、期待外れの結果に終わりかねません。
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