1.NTTが大阪・関西万博のIOWN心臓部「MDF室」公開、Perfumeの公演も成功(4.3 日経XTEC)
NTTは2025年4月2日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の「NTTパビリオン」内の体験内容・展示物を披露した。NTTパビリオンのネットワークを支える「MDF室」も報道陣に公開した。
NTTは体験内容や展示に次世代ネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の関連技術を用いている。IOWNは光通信技術を中心とした高速大容量通信や膨大な計算リソース、低消費電力といった特徴を備えるネットワーク・情報処理基盤だ。
MDF室は大阪・関西万博におけるIOWNのネットワークを支える心臓部である。サブのMDF室も6つ用意している。MDF室内に伝送装置や終端装置などを設置し、通信速度は最大800Gbit/sになる。停電などの電源喪失時に備え、蓄電池も用意している。同社によると「IOWNネットワークでもかなり大規模な構成」とする。
2.米IBMの幹部が直言、日本の最大リスクは塩漬けされている基幹系システム(4.4 日経XTEC)
ミッションクリティカルシステムの塩漬けは日本にとって最大級のリスクである。米IBMの朝海孝ワールドワイド・システムズ クライアント・エンゲージメント バイスプレジデントはこう指摘する。
ミッションクリティカルシステムはビジネスや業務を支え、万一止まってしまうと多方面に悪影響を与える。それだけに「下手に手を加えるとよくない」 「安定稼働を最重視して変革は慎重に」として、最低限の保守をするだけにとどめる、いわゆる塩漬けの状態にされがちだ。
あるいは思い切って再構築すると宣言したものの、実態を見ると既存のアプリケーションソフトを新しい言語で書き換える、パブリッククラウドに乗せ換える、といったことにとどまり、ビジネスのプロセスやルールは従来のものを踏襲していたりする。これも一種の塩漬けだろう。
世界が大きく変化し、先行きが不透明な中、根幹のビジネスや業務とそれを支えるシステムを見直さず、従来のままにしておいてよいのか。ミッションクリティカルシステムにこそ、最新技術を入れ、変化に対応する柔軟性と止まらない堅牢(けんろう)性あるいは万一のときにすぐ復旧できる仕組みを担保すべきではないのか。
3.AIエージェントで開発者の仕事は消滅するのか、GitHubのCEOに聞いてみた(4.4 日経XTEC)
生成AI(人工知能)が高度化し、様々なタスクを実行できるAIエージェントに進化すると、ソフトウエア開発者の仕事はどうなるのか。消滅してしまうのか。2025年3月に来日した、米GitHub(ギットハブ)のThomas Dohmke(トーマス・ドムケ)CEO(最高経営責任者)に聞いた。
ギットハブは従来、コード開発を支援する「GitHub Copilot(副操縦士、の意味)」のことを「AIペアプログラマー」と表現していた。人間の開発者の隣で同じコードを見ながら一緒に開発作業を進め、人間の開発者に様々なアドバイスをしてくれる存在という意味だ。
ペア(Pair)とピア(Peer)は何が違うのか。ドムケCEOは「ちょっとした言葉遊び的な表現」と断った上で、AIピアプログラマーは「単独で仕事ができる存在だ」と語る。
従来のAIペアプログラマーが人間の補助役だったのに対して、AIピアプログラマーは開発チームの同僚(Peer)だ。ソースコードだけでなくドキュメントやイシュー(課題)に関するメッセージなど、プロジェクト全体のコンテンツを読み込んだ上で、問題点を解決するようなコードを開発し、他の技術者にレビューしてもらうためのプルリクエストを送ってくれるのだという。
「(AIピアプログラマーに進化した)GitHub Copilot(副操縦士、の意味)はもう、開発者の隣には座っていない。人間の開発者は自分の仕事を進め、Copilotも自分の仕事をする。Copilotはタスクが完了したら開発者にメールを送り、レビューを求める。Copilotはチームの同僚であり、開発者はオーケストラの指揮者のように複数のCopilotを振り付けて仕事を進めることになる」(ドムケCEO)
もっとも現時点のAIエージェントが開発プロジェクトの課題を実際に解決できる率は、65%に過ぎないという。「Copilotが開発チームに加わって、人間の仕事を引き継げるようになるには、まだまだやるべきことがある」(ドムケCEO)。しかし生成AIが急速に進化してきたことを考えると、近い将来、AIピアプログラマーが実現する可能性がありそうだ。
つまり今後、AIエージェントによってソフト開発の効率性が改善したとしても、それによってソフト開発の価格が下がって、ソフト開発に対する需要が喚起され、結果としてソフト開発の仕事も増え続ける。それがドムケCEOの答えだったのだ。
4.ZTEと中国移動がDeepSeekを使った5G通話アプリケーションを公開(3.18 日経XTEC)
中国・中興通訊(ZTE)と中国・中国移動(China Mobile)は、DeepSeekを使った5G通話アプリケーションを開発し、試作版を公開した。コアネットワークインフラに統合する形で提供する。
通話内容を認識し解析するAI機能を搭載し、スケジュール管理やリアルタイムでのQ&Aを支援するパーソナルアシスタント機能や、通話時のセキュリティーを高めるセキュリティーアシスタント機能、リアルタイム翻訳機能などを実現した。China Mobileでは、中国内外の通信機器メーカーと共にリアルタイムコミュニケーションとAI機能の融合を目指す「VoNR+(5G New Calling)」活動を進めている。今回の5G通話アプリは、VoNR+が定めるネットワーク構成に基づき開発したものとなる。
5.「世界の5G SA活用はどこまで進んでいるか」、米調査(3.19 日経XTEC)
通信速度調査大手の米Ookla(オークラ)は、世界の5G SA(スタンドアロン)展開状況や収益化の取り組みに関する調査結果を公表した。中国で既に8割以上が5G SAに対応しており、インドや米国でも5G SA化が進んでいる。
提供開始時に大きく後れを取った欧州などEMEA(欧州、中東およびアフリカ)地域では導入ペースが加速しており、過去2年間に導入された商用5G SA全体の70〜75%を占めている。
収益化に向けた取り組みとしては、5G専用の帯域幅で性能保証サービスを提供するオーストリアThree Austria(スリー・オーストリア)や、イベント会場にて混雑時に優先的なネットワーク接続を提供するシンガポールSingtel(シングテル)などがある。
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