1.AWSが新量子チップ「オセロット」発表、エラー訂正コストを最大90%削減(2.28 日経XTEC)
米Amazon Web Services(AWS)は2025年2月27日(米国時間)、新しい量子チップ「Ocelot(オセロット)」を発表した。特徴は拡張可能であること、かつ量子エラー訂正装置を組み込む設計としたことだ。量子エラーの訂正に必要なコストを、従来の符号化方式より最大で90%削減するという。カリフォルニア工科大学にあるAWSの量子開発組織「AWS Center for Quantum Computing(AWS量子コンピューティングセンター)」のチームが開発した。
量子エラーは量子コンピューター最大の課題といわれる。克服に向けては、主に複数の物理量子ビットを組み合わせて論理量子ビットを形成し、エラーを検出して状態を復元する手法が採られる。この場合、計算の正確さを担保するために膨大な量子ビットを必要とする点が課題だ。
2.アクセンチュアが社会トレンドの年次リポート、キーワードは「リバランス」(2.28 日経XTEC)
アクセンチュアは2025年2月27日、年次リポート「アクセンチュアライフトレンド2025」を発表した。日本を含む世界22カ国2万4000人以上へのアンケートと、人類学やテクノロジーなどの専門家の分析を基に社会トレンドをまとめたものだ。2025年のトレンドとして「ためらいのしわ寄せ」「親子間ギャップ」「せっかちエコノミー」「仕事の尊厳」「つながりの再野生化」の5つを挙げると共に、これらを踏まえて企業に求められる対応策を提示した。
2025年はAI(人工知能)やデジタル技術の進展による生活の変化を実感する中で、生活者は新たに生じてきたリスクや不安に向き合い、技術との付き合い方を見直す傾向が強まるという。アクセンチュアはこれを「リバランス」と表現する。
3.「2029年にはクラウドRANがRAN市場全体の約25%を占める」、米調査(2.11 日経XTEC)
米調査会社Dell'Oro Group(デローログループ)は、クラウドRANが2029年までにRAN市場全体の25%近くを占めるようになるとする最新リポート「Open RAN Advanced Research Report」を発表した。
2024年のOpen RANおよびクラウドRANの収益は、全体的なRAN市場と同様に減少傾向だが、長期的に見れば好調との予測だ。課題や遅延はあるとしても、今後ほとんどの事業者がRANの仮想化、自動化、オープンソース導入を進める可能性があるという。一方で、Open RANがマルチベンダーRANを促進し、価格を引き下げるというシナリオは消えつつある。地域的には、vRANの約8割が北米とアジア太平洋地域で展開されるとも予測している。
4.7年前に既に起こっていたシンギュラリティー、汎用AIはもうここにある(2.28 日経XTEC)
少し前、AI(人工知能)スタートアップであるSakana AI(サカナAI)に関してちょっとした炎上騒ぎがあった。同社は2025年2月20日、「AI CUDA Engineer」という技術を発表した。大規模言語モデル(LLM)を利用して従来の深層学習のプログラムを変換し、大幅な高速化を実現したというものだ。
ところが他の研究者による検証により、この高速化が誤りだったことが判明した。LLMが出力したのは、実際には高速化していないのにあたかも高速化したように見せかけるプログラムだったのだ。Sakana AIは誤りを認め、論文の修正と評価環境の強化を進めると発表した。
不謹慎だが、私はこの話を聞いて「面白い」と思ってしまった。Sakana AIは世界で最もAIについて詳しい企業の1社であるはず。それなのにAIにまんまとだまされてしまったのだ。
今までの機械は設計通りに愚直に動作し、故障や不具合などがない限り、勝手に人間を裏切ったりはしなかった。ところが現在のAIは、見かけ上の成果を優先するあまり、人の価値観からすると不正な方法、要するに「ずる」を採用することがある。いわば倫理観が欠けた人に近い振る舞いだ。機械というよりも「もう1種類の人類」と考えたほうがしっくりくる。
最近は「汎用AI(AGI、Artificial General Intelligence)がいつ実現するか」がよく話題になる。しかし個人的には「今のAIはもう汎用AIといっていいのではないか」と感じている。
5.生成AIを活用したネットワーク機器の自律操作、KDDIらが実証(2.26 日経XTEC)
KDDIとKDDI総合研究所は2025年2月26日、生成AI(人工知能)を活用した自然言語での要求を基にネットワーク機器を自律的に操作するシステムの実証に成功したと発表した。ネットワークの増強などを自律的に設定・管理できることを検証環境で確認した。
今回、新たに開発した技術は主に2つ。1つは、運用者と自然言語で対話した内容を基に、ネットワーク制御システムが理解できるデータ記述言語(Network Intent)を自動生成する技術。もう1つは、自動生成したデータ記述言語に基づいて自律的にトラフィックを制御する技術だ。
例えば、運用者が「(一時的に多くのユーザーが集まる)花火大会の対策をしたい」などと入力。生成AIを活用したシステムとの対話を通じて固まった要件から、ネットワーク制御システムの制御文を「YAML」などの記述言語で生成する。この制御文を基にトラフィックの制御をKubernetes上に構築したコントローラーが自律的に判断し、ネットワークの設定を変更する。運用者の負荷軽減やヒューマンエラーの回避につなげる。
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