週間情報通信ニュースインデックスno.1427 2024/5/4


1.ユニコーンを次々生み出すUCバークレー、次のテーマは「AIマルチクラウド」(5.2 日経XTEC)
シリコンバレーの大学といえばスタンフォード大学が有名だが、サンフランシスコ湾の対岸にあるライバル校、UCバークレー(カリフォルニア大学バークレー校)も有力な技術スタートアップを次々と生み出している。

 まず2006年から2010年にかけて運営された「RAD Lab」と、続く2011年から2016年にかけて運営された「AMPLab」からは、ビッグデータ分析のオープンソースソフトウエア(OSS)である「Apache Spark」や、コンテナオーケストレーターのOSSである「Apache Mesos」、分散ファイルシステムのOSS「Alluxio」などが生まれた。

 Sky Computing Labが進める研究プロジェクトの1つが「SkyPilot」だ。異なるパブリッククラウド、異なるコンピューターアーキテクチャーをまたいで、大規模言語モデル(LLM)などのAIワークロードを自在に実行できるというソフトウエアだ。

 ビッグデータやAIのブームをけん引した歴代の研究所。その後継であるSky Computing Labがマルチクラウドに力を入れているということは、次の「ブーム」の種はこの領域にありそうだ。

2.生成AIで「すでに数十億ドルの収益」、Amazonの1〜3月期は営業利益が過去最高(5.1 日経XTEC)
米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は米国時間2024年4月30日、2024年1〜3月期の決算を発表した。売上高は前年同期比13%増の1433億1300万ドル(約22兆6200億円)、本業のもうけを示す営業利益は同3.2倍となる153億700万ドルで増収増益だった。四半期の営業利益は前の四半期に続いて過去最高を更新した。

 市場にとってサプライズだったのは、営業利益の大半を稼ぐAmazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)の成長だ。売上高は前年同期比17%増の250億3700万ドルと、市場予想を大きく上回った。QUICK・ファクトセットの集計による市場予想は同15%増の245億6900万ドルだった。売上高成長率は前の四半期の13%から4ポイント上昇した。

 アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は同日に開いたオンライン説明会で「AWSの顧客は生成AIを活用して顧客体験とビジネスを変えることに興奮している。AIにはかなりの勢いがあり、すでに数十億ドルの収益ランレートが積み上がっている」とコメントした。

3.閲覧情報の管理に便利、Edge「コレクション」やChrome「リーディングリスト」(5.2 日経XTEC)
 Edgeには、Webページから集めた情報を管理する「コレクション」機能がある。スクラップブックのように、Webページ全体やページ内のテキスト・画像を保存して、テーマ別に分かりやすく管理できる。

 Webページを保存するときは、ページ上で右クリックして、メニューの「コレクションに追加」からコレクション名を選ぶ。ページ内の選択したテキストや画像の上で操作すれば、その部分だけを追加できる。

 Edgeの画面右にある「サイドバー」も便利だ(図3)。表示されていない場合は、右上のCopilotボタンをクリックすると現れる。バーの下側にある「サイドバーを常に表示する」ボタンのクリックで、常時表示にできる。

4.IPのバージョンは4と6以外にあるの? 全部でいくつ?(5.1 日経XTEC)
実験的に利用されたバージョンも含めると、IP(Internet Protocol)は0から9まで合計10個のバージョンがこれまでに検討されました。

 ただし全てのバージョンが一般に使われたわけではありません。IPアドレスなどの番号資源を管理するIANA(Internet Assigned Numbers Authority)によると、「IP Version Number」として2と3は割り当てられていません。

 バージョン0から3までのIPは、広く普及したIPv4が完成する前に検討されました。TCP(Transmission Control Protocol)の研究開発を進める中で順次新しいバージョンが検討され、4で正式にRFC(Request For Comments)が発行された形です。RFC 755には、IPv4の前にバージョン0から3までが存在したことが記述されています。

 バージョン5以降は「次世代IP」として検討されました。IPv4アドレスが不足するとの予想があったためです。バージョン5から9まではほぼ同時期に議論され、アドレス空間の広さなどの観点からIPv4の後継としてIPv6が利用されるようになりました。広く使われなかったバージョン5と7〜9はIANAの管理上、これ以上議論しない扱いになっています。

5.スマホ値引き規制がまたも見直しへ、ミリ波対応端末は割引上限額を1.5万円緩和(5.1 日経XTEC)
総務省は携帯電話の通信料金と端末代金の完全分離をはじめとした施策の効果や課題を検証する有識者会議を継続的に開いている。2023年12月にスマートフォンの値引き規制が強化されたことは記憶に新しいが、次の議論が既に始まっており、2024年4月24日の会合では早くも論点整理案が出てきた。値引き規制はまたも複雑化しそうである。

 論点整理案には端末市場のさらなる活性化やモバイル市場の競争促進に向けた施策など7項目が並んだ。7項目のうち筆者が最も驚いたのは、ミリ波対応端末に対する割引上限額の緩和である。ミリ波の28ギガヘルツ帯は携帯各社にそれぞれ400メガヘルツ幅の広帯域を割り当てたが、有効に活用できていない。ミリ波対応端末普及の後押しは重要であり、トラフィック増加対策や新サービス創出の観点でも政策的意義が非常に高いとした。

 論点整理案で示された割引上限額の緩和幅は1.5万円(税別、以下同じ)。同一機種におけるミリ波対応の有無による価格差が平均で約1.7万円だったことを踏まえた。現行の制度では原則として端末価格の50%を超える割引を認めておらず、ミリ波対応端末についてもこの方針を踏襲するため、さらに複雑なルールとなる見通しである。

 日本における端末シェアを踏まえると、結局はアップルのiPhone次第。総務省は割引上限額の緩和を契機に日本におけるiPhoneのミリ波対応を促せると考えているのかもしれないが、一筋縄ではいかなさそうだ。

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