週間情報通信ニュースインデックスno.1402 2023/10/28


1.人間の能力を過信しない、クラウドの設定ミスから重要データを守る「CSPM」(10.27 日経XTEC)
クラウド・セキュリティー・ポスチャー・マネジメント(Cloud Security Posture Management、CSPM)は、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の設定をチェックし、管理する仕組みである。主要なクラウドベンダーやセキュリティーベンダーが、CSPMに基づくクラウド管理ツールを提供している。同様にSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の設定を管理する仕組みとしてSSPM(SaaS Security Posture Management)がある。

 CSPMツールはIaaSやPaaSのAPIを呼び出して、設定に関する情報を自動的に収集。ユーザーはCSPMツールの利用に際し、あらかじめ「ポスチャー」と呼ばれる理想の状態のセキュリティー設定を定義しておく。米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)の「AWS Foundational Security Best Practices(FSBP)」や、米国のセキュリティー団体であるCIS(Center of Internet Security)による「CISベンチマーク」などが、ポスチャーの例だ。

 ポスチャーと現状の設定を比較することでリスクを洗い出し、可視化する。CSPMツールには、サーバーやネットワークなどの構成情報や、アカウントに付随する権限情報などを可視化したり、リスクを判定・修正したりといった機能がある。

2.突然浮上したNTT法の見直し、猛反対する競合との落としどころを見いだせるか(10.27 日経XTEC)
政府保有株の売却方針によって突如浮上した「日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)」の改正に関する議論。約40年前に整備された法律ということもあり、いくつかの足かせが存在するNTTは改正が進み廃止されることを望んでいるようだ。だがKDDIやソフトバンクなどの競合は、一定の譲歩は見せながらもNTT法の廃止に猛反発している。落としどころはあるのだろうか。

NTTはNTT法によって研究開発を他社などに開示する義務が定められており、それが他社との研究開発を進める上でのハードルとなっている。さらに安全保障上の問題にもなり得るとし撤廃を求めている。

 2つ目は外国人取締役の就任に関する規制である。NTT法では、日本国籍がないとNTTやNTT東日本及びNTT西日本(NTT東西)の取締役や監査役になれないとされている。国際化が進みNTTもグループで海外での事業を展開している状況を考えると、現状にそぐわない。

 そして3つ目は固定電話サービスの維持である。NTT法によってNTT東西は条件不利地域での電話網維持が求められている。NTT東西にとってその負担は大きく、赤字の規模は約600億円に及ぶという。

 NTT東西は、NTTが日本電信電話公社だった時代に「国のお金」で整備した土地や設備を多数保有し、現在主流の固定通信網である光ファイバー網では圧倒的なシェアを持つ。競合他社は、携帯電話の基地局などを設置する際にはNTT東西に頼らなければならない。

3.まもなく登場する「Wi-Fi 7」、2024年の規格策定を見据えたルーターの発売予告も(10.27 日経XTEC)
Wi-Fi 7は、2024年の規格策定を目指している。帯域幅の拡大や高密度化で大幅な高速化を図る。複数の周波数帯を束ねて使う画期的な機能にも対応。現在はドラフト(暫定)規格だが、Wi-Fi 7ルーターの発売を予告しているメーカーもある。

インテルは2023〜2024年にWi-Fiモジュールの投入を予定しており、それが登場し次第、Wi-Fi 7対応パソコンも発表される見込みだ。

4.企業のイノベーションを具現化する マルチクラウド戦略の実践(10.26 日経XTEC)
予測不可能な時代、イノベーションの実現が多くの日本企業に共通する課題となっています。

 デル・テクノロジーズは、2年に一度、企業のイノベーション成熟度調査を実施しています。2023年2月の調査では、日本を含む世界約6600人の企業幹部や意思決定者の意見を収集しました。日本企業の多くはイノベーションの初期段階や計画段階にあり、本格的なイノベーションはこれからという状況でした。

 調査の結果からは、注目すべき傾向も明らかになりました。イノベーションリーダーと呼ぶべき企業の多くが、イノベーションに向けた取り組みを、組織、プロセス、テクノロジーの三位一体で進めています。

 アイデアの創出と実現に向けたチャレンジを促し、成功と失敗を共有しながら人材を育成する。これらの活動を反復的に継続できるプロセスや組織文化を確立すると同時に、先端テクノロジーを戦略的に活用します。この相乗効果で、ビジネス成果に直結するイノベーションを継続的に生み出すのです。

 イノベーションを創出し、実現する先端テクノロジーの中核となるのがマルチクラウドです。マルチクラウドには、パブリッククラウド、プライベートクラウド、エッジ、そしてコロケーションが含まれます。こうした複数のクラウドを適材適所で有効に活用することが、企業競争力に直結していきます。

5.先行するスペースXをAmazonが追う、地球上どこでも低軌道衛星が大容量通信を実現(10.25 日経XTEC)
低軌道を周回する数多くの通信衛星を使った高速通信(以下、低軌道衛星通信)の活用が広がってきた。低軌道衛星通信のサービス提供で先行するのが、米スペースXの「Starlink(スターリンク)」だ。日本でもKDDIとソフトバンクが法人向けにスターリンクの提供を開始しており、実用例や実証実験が増えてきた。

 低軌道衛星通信の最大の特徴は、利用場所の柔軟性と大容量の両立である。陸から遠く離れた海上や人里離れた山奥などでも大容量通信を実現できるわけだ。光通信ケーブルの敷設やモバイルネットワークの基地局設置がコスト的に難しい場所に加えて、長距離を移動しながらの使用にも向いている。一時的な通信サービスの提供(スポット利用)が求められる現場での導入も始まっている。

 既に実用的な利用が始まっている。例えば、初島(静岡県熱海市)の一部地域でau通信網のバックホールとして利用されている。また、野外音楽フェスティバル「JAPAN JAM 2023」において、人が密集してキャッシュレス決済などでの通信品質の悪化が想定される場所をスポットで補助する用途でも使われた。それ以外にも新たなユースケースを生み出そうと、幅広い業種の組織や個人での利用実験も進められている。

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