1.ソフトバンクがLINEMOで格安スマホ潰しに本気、取り残されたドコモはどうする(7.21 日経XTECH)
ソフトバンクが早くもオンライン専用ブランド「LINEMO(ラインモ)」で次なる攻め手を打ってきた。同社が2021年7月15日に提供を始めた「ミニプラン」は月間データ通信量が3ギガバイトで月990円(税込み、以下同じ)。割引を適用しない「素の料金」で1000円を下回ってきたことに驚いた。
LINEMOの新料金で最も打撃を受けそうなのは、格安スマホを手掛けるMVNO(仮想移動体通信事業者)である。MVNOも新料金を打ち出して対抗しているが、ただでさえ安さのメリットが薄まる中、LINEMOの新料金で差はさらに縮まった。
MVNO大手の料金を例に挙げると、インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmioモバイルサービス ギガプラン」が2ギガバイトで月858円、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」が同1ギガで月770円など。とにかく毎月の負担を安く抑えたい消費者に対しては依然として優位性が残るものの、差は月100〜200円程度。朝や昼、夕方の混雑時に通信速度が落ちやすいというMVNOの弱点も加味すると、LINEMOのほうが総合力で圧倒する可能性が高い。
携帯大手は一連の料金下げで減収が避けられないため、全体の契約数を少しでも上乗せして影響を最小限に抑えたい考え。LINEMOの新料金はMVNOの潜在顧客ばかりか、既存顧客まで奪い取れるパンチ力がある。決して大げさでなく、筆者には「ソフトバンクが本気でMVNOを潰しにきた」と感じた。
2.サムスン電子とKT、韓国初となる商用5G SAサービスの運用を開始(7.21 日経XTECH)
韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と韓国KTは2021年7月15日、韓国初とする商用5G SA(Standalone)ネットワークサービスの提供を開始したと発表した。両社は2020年11月に5G SAと5G NSA(Non-Standalone)の同時稼働を可能にする基幹ネットワークの商業運用を開始。以来、KTの主要な事業所や都市部などで5G SA商用化試験を進め、今回、本格的な5G SAサービス運用を開始した。
3.今夏のSIMフリーの主役になるか、4万円台でハイエンド級「Mi 11 Lite 5G」(7.19 日経XTECH)
今回紹介するSIMフリースマートフォンは、2021年7月に発売された中国・小米科技(Xiaomi、シャオミ)の「Mi 11 Lite 5G」。同社が日本向けに発売する初の5G対応のSIMフリースマホだ。なお、5Gはsub6のみで国内の全キャリアに対応している。
シャオミは2019年12月に日本市場に参入して以来、コストパフォーマンスが高いスマホを続々とリリースしている。本モデルも「Snapdragon 780G」という高性能な最新チップを搭載しつつ、4万3800円(税込み)というお手ごろな価格が設定されている。同等のスペックを備えた5Gスマホの中で最安だろう。
筆者はシャオミから借りた端末を10日間ほど使ってみた。先に率直な感想を述べると、大画面ながら軽く、操作感も小気味よく、気持ちよく使えるスマホだった。特に気に入ったのは下記の5つのポイントだ。
従来モデルとは一線を画す薄型ボディー
色鮮やかな“映える”写真が撮れる3眼カメラ
Snapdragon 780G搭載で動作は“キビキビ”
電池の持ちや充電速度にも満足
多くの人が必要とする機能はもれなく搭載
ではこれら5つのポイントについて、詳しく紹介していこう。
Mi 11 Lite 5Gの本体サイズは160.53×75.73×6.81mmで、重さは159gだ。
ということもあり、筆者が初めてMi 11 Lite 5Gを手にしたときは、あまりの軽さに「これ、本当にシャオミの端末なの?」と疑いたくもなった。従来モデルとは一線を画するフラットなデザインで、同こんのクリアケースを付けてもなお薄く感じられる。
アウトカメラは3眼で、メイン(6400万画素/F1.79)+超広角(800万画素/F2.2)+テレマクロ(500万画素/F2.4)という構成。
4.「SIMロック原則禁止」が業界に与える影響 メリットばかりではない理由とは(7.22 ITmedia)
総務省は現在進めている有識者会議で、SIMロックを原則禁止とする方針を打ち出している。だが、そもそもなぜSIMロックが存在し、なぜ問題視されてきたのか。そしてSIMロックが原則禁止となることで、市場にはどのような影響が出ると考えられるだろうか。
特定の通信会社のSIMを挿入したときしか通信ができないよう、端末にロックをかける「SIMロック」。日本ではかつて、SIMロックがかかっていることが一般的だったが、今後SIMロックは原則禁止となる。
それは総務省の有識者会議「電気通信市場検証会議」の中に設置された「競争ルールの検証に関するWG」の「スイッチング円滑化タスクフォース」での議論の末、その報告書に盛り込まれたもの。このタスクフォースではキャリア(携帯電話事業者)の乗り換えをより円滑にする取り組みに関する議論がなされており、そのテーマの1つとなっていたのが「SIMロック解除の一層の推進」である。
携帯各社はかつて、スマートフォンなどの端末価格を実質0円、1円といった非常に安価な価格で販売して新規契約者を獲得し、毎月の通信料金からその割引分を回収するというビジネスモデルを展開していた。それゆえ、契約してすぐ解約されてしまうと値引き分の原資が回収できなくなってしまう上、割賦を組んで購入した端末の場合、その支払いまでもが踏み倒されてしまうリスクがあることから、SIMロックをかけて他社のSIMで利用できないようにすることにより、リスクを回避していたわけだ。3G時代はキャリア間で通信方式が異なっていたため、SIMロックを解除しただけでは他社のSIMを利用できるとは限らなかった。
そして極め付きとなったのは、2018年から2020年にかけて実施された「モバイル市場の競争環境に関する研究会」だ。先にも触れた通り、キャリアがSIMロックをかける根拠は通信料を原資とした端末の値引きにあったのだが、この研究会の議論で総務省はその端末値引きのスキーム自体を禁止し、2019年の電気通信事業法改正によっていわゆる“通信と端末の分離”を義務化。SIMロックの根拠そのものを禁止することで、その後のSIMロック原則禁止の実現へとつなげていったわけだ。
では今後、SIMロックはどうなっていくのだろうか。SIMロック原則禁止を定めた「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」の改正案によると、その適用は2021年10月1日からとされている。
総務省はSIMロックをなくすことで、大手3社のメインブランドの高額なプランから、MVNOなどが提供する低価格の料金プランへと乗り換える際のハードルを減らし、通信料の低価格競争が一層促進されることを狙っている。それだけに一連の施策が、SIMのみでサービスを提供するMVNOや、「povo」「LINEMO」などのオンライン専用プランにとって有利に働くことは確かだろう。
一方で、SIMロックの原則禁止が必ずしも全ての消費者のメリットになるとは限らないことも覚えておく必要がある。1つは、端末によって対応する周波数帯が違っているため、他社のSIMに変えることで端末本来の通信性能を発揮できなくなる可能性があることだ。
そもそもキャリアはiPhoneなど一部の端末を除いて、自社ネットワークで快適に利用できるよう、自社が免許を持つ周波数帯だけに対応させていることが多い。それゆえ、他キャリアのSIMを挿入すると一部の周波数帯が対応しておらず、通信が利用できない場所が生じるといった問題が発生しやすい。
またSIMロックを前提とした値引きができなくなったことで、キャリアが端末値引きで在庫を一掃するといった措置を取れなくなってしまったことから、在庫リスクを恐れてキャリアが調達する端末が売れ筋のものに偏る傾向にある他、独自性のあるオリジナル端末のチャレンジも減少するなど、端末の魅力低下につながるという弊害も起きている。近年、携帯各社の端末発表イベントが縮小傾向にあることが、それを物語っているといえよう。
これまでの総務省でのSIMロックに関する議論を振り返ると、国内市場の公正競争の追求に熱心なあまり、規制がもたらすデメリットについてはあまり議論されていない印象も受ける。SIMロックの原則禁止、そして端末値引き規制は5Gの普及阻害要因となり、国内の端末メーカーにも大きなダメージを与えるなど産業面では大きな影響を与えているだけに、通信産業の競争力強化という観点に立つならば、規制によるデメリットとその対処についても議論が必要ではないかと筆者は感じている。
5.「Zoom Rooms」の注目機能「Smart Gallery」とは? テレビ会議の盲点「会議室で隣同士の人を分割表示できない」問題を解消(7.22 ITmedia)
1人の会議参加者を1つの枠に表示する――。テレワークで当たり前になったこの画面レイアウトを、会議室内の参加者に適用しようとすると途端に難しくなる。この見逃しがちな課題に対処しようとしているのがZoomだ。
Zoom Video Communications(以下、Zoom社)は会議室用テレビ会議アプライアンス「Zoom Rooms」への「Smart Gallery」という新機能の追加を進めている。Smart Galleryはテレビ会議の画面デザインを変更する機能で、会議室にいる会議参加者と、遠隔地にいる会議参加者をグリッド(格子状)レイアウトで1人1つの枠に表示する。Smart Galleryを使うと全ての参加者を平等に映すことができるため、オフィスワーカーとテレワーカーが混在する「ハイブリッドワーク」を実施するときに役立つ。
当初Zoom社は、Smart Galleryのパブリックβ版を2021年6月に提供開始する計画だったが、急きょ延期を決めた。理由は明らかにしていない。同社は同年7月にSmart Galleryのパブリックβ版の提供を始めた。
「ハイブリッドワークでテレビ会議を実施するには、各参加者を個別の枠に表示することが不可欠だ」とZoom社は訴求する。この機能は、会議参加者を平等に扱うだけでなく、在宅の参加者が会議室にいる参加者の表情やしぐさを読み取るのに役立つ。
Smart Galleryを使って、会議室にいる複数の参加者をそれぞれ個別の枠に表示するには、ハードウェアベンダーが提供する特別な会議室向けカメラが必要になる。Zoom社によると、NeatframeやPoly(Plantronics)、Logitechなどの遠隔会議用製品ベンダーが、Smart Galleryを利用できるカメラを提供する。
調査会社のGartnerは、2021年末までにナレッジワーカー(ライターや会計士、エンジニアなど)の51%が週に1日以上テレワークをするようになると予想している。2019年の調査では、この割合は27%だった。企業がハイブリッドワークに移行する中で、全ての従業員が会議に平等に参加することは重要な意味を持つ。
Smart Galleryなどの会議支援機能は有益だ。ただし会議室にいる会議参加者とリモートの会議参加者が平等に参加できるようにするためのハードルは「依然として残っている」と、調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるアート・ショーラー氏は指摘する。会議室にいる参加者同士がカメラに写らないところでやりとりをしたり、カメラではなくお互いを見たりすると、リモート参加者は疎外感を抱いてしまう。「会議室にいる参加者が物理的なホワイトボードを利用するのも、リモート参加者にとっては会議参加の障壁になる」(ショーラー氏)
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