週間情報通信ニュースインデックスno.1272 2021/04/17


1.地銀4行とNTTデータが営業店システムを共同開発、汎用端末活用でコスト半減(4.16 日経XTECH)
京都銀行など地方銀行4行とNTTデータは2021年4月16日、新たな営業店システムを共同開発すると発表した。専用端末ではなく、パソコンやタブレットなどの汎用端末で多くの事務を処理できるようにし、営業店システムのコスト半減を目指す。NTTデータが運営する基幹系の共同化システム「地銀共同センター」に参加する全行に新システムを展開する予定だ。

 2021年2月からNTTデータのほか、地銀共同センターの幹事に相当する「運営委員行」である青森銀行、京都銀行、池田泉州銀行、西日本シティ銀行の4行で検討を始めた。2022年度をめどに新システムの利用を始める。5年後に専用端末が必要な事務を8割減らすことを目指す。ITコスト削減に向け、サーバー仮想化なども進める。

2.手のひらサイズのAIロボットが視線や表情を解析、ハタプロが認知症予防の新サービス(4.16 日経XTECH)
AI(人工知能)ロボットやIoT(インターネット・オブ・シングズ)アプリの技術開発を手掛けるハタプロ(京都市)は都内で開催中のイベント「ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ」で、非接触で認知症を検査・予防する新サービスを紹介した。イベントの開催は2021年4?14??16?。新サービスは2021年3月に商用導入されたもの。同社のミミズク型AIロボット「ZUKKU(ズック)」を活用して無意識の動作などから認知機能を検査し、低下がみられる領域について改善策を提案するという内容だ。

 新サービスの特徴はZUKKUを「見るだけ」「かざすだけ」で操作できるようにした点にある。ロボットの扱いに慣れていない高齢者でも使えるようにする狙いがある。利用者が3分程度の動画を見たり、簡単なクイズに答えたりする際の視線や表情、口の動き、体動などの情報をZUKKUが収集し、ZUKKU内の動画解析AIが生体情報を数値化。同数値を基に判断力や記憶力といった能力の低下がみられる領域を診断し、個別最適化された予防プログラムを別途提案する。料金はロボットの台数などによって異なり、初期費用は数万円からで月額費用は数千円からという。

3.携帯の乗り換え障壁を徹底排除する総務省、格安スマホ事業者に福音となるか(4.16 日経XTECH)
菅義偉政権の強い要請を受け、携帯大手から始まった料金下げ競争。思わぬ形で逆風に見舞われたMVNO(仮想移動体通信事業者)だが、悲観する様子はない。MVNO市場は2020年12月末時点で1476社がひしめくレッドオーシャン。厳しい競争は今に始まったことではない。

 むしろ携帯大手の値下げで消費者が乗り換えを検討する機運が高まっており、「市場がもう一度活性化するのではないかと期待している」(イオンリテール住居余暇本部イオンモバイルユニットの井原龍二イオンモバイル商品マネージャー)との声は多い。

 MVNOも大手を中心に相次ぎ値下げを発表し、好調な滑り出しに成功した事業者もある。2021年2月に「mineo」で新料金「マイピタ」の提供を始めたオプテージ(大阪市)は、開始前の6カ月間の平均に比べ「(2021年2月と3月は)獲得数が2倍程度に拡大した。反響の大きさに驚いている」(オプテージの福留康和モバイル事業戦略部長)と話す。

 さらに2021年4月2日に意見募集を開始した有識者会議「スイッチング円滑化タスクフォース」の報告書案では、(1)eSIMの促進、(2)SIMロック解除の一層の促進、(3)キャリアメールの「持ち運び」実現に向けた検討、(4)MNP手続きのさらなる円滑化に向けた検討、などを打ち出した。

 SIMカードを差し替えなくてもオンラインで乗り換えられる(1)のeSIMは2021年夏ごろの導入を目指す。(2)のSIMロックは「競争を阻害する効果を有し、購入者の権利を不当に制限する」として、原則禁止まで踏み込んだ。(3)のキャリアメールは携帯大手3社が「@docomo.ne.jp」「@au.com」「@softbank.ne.jp」などのドメインで提供するメールサービスを指し、他社に乗り換え後も継続して使えるようにする。「2022年夏ごろまでには実現することが適当」とした。

4.「ゼロトラストネットワーク」の基盤、IDaaSのアクセス制御を徹底図解(4.15 日経XTECH)
 IDaaSが備える4つの主要な役割のうち、アクセス制御とID管理について説明する。アクセス制御を突き詰めると、実は最近注目されているゼロトラストネットワークへとつながる。その意味でIDaaSは、これからのセキュリティーを実現する上での基盤となる。

 IDaaSにおける3番目の主要機能がアクセス制御だ。アクセス制御とは、アプリケーションやサービスの利用の可否を判断し、利用不可の場合にはアクセスを遮断する機能である。

 IDaaSにおけるアクセス制御は「ロール(役割)」に基づく。IDとひも付けられたロールによってアクセスできるリソースを決める。例えば経理部門の従業員と製造部門の従業員には、それぞれ「経理担当」「製造担当」というロールが与えられる。

 経理担当のロールであれば経理サービスにアクセスできるし、製造担当のロールであれば製造管理アプリへのアクセスが許可される。

 逆に経理担当のロールでは製造管理アプリへのアクセス権はないし、製造担当のロールは経理サービスにはアクセスできない。一方製造部門の部門長には、経理サービスへのアクセス権限も付与するといったことが可能になる。

 こうしたロールごとのアクセスの可否情報をIDaaSに登録しておく。これによりIDaaSがアクセスを制御する。

 アクセス制御機能はゼロトラストネットワークを実現する上での基盤としても使われる。前述のように「関所」として機能するからだ。

 実際日本マイクロソフトは、Azure Active Directoryを「IDを管理するサービスというよりも、ゼロトラストネットワークを実現する上でコアとなるサービスと位置づけている」という。

5.iPhoneがWi-Fiにつながらない、iOS 14の落とし穴「MACアドレスのランダム化」(4.15 日経XTECH)
iPhoneをiOS 14にアップデートしたら、会社のWi-Fiにつながらなくなった──。最近、企業のネットワークでこうしたトラブルがよく見られるようになった。その原因は意外なところにある。

 ネットワーク管理者にとってなじみの深いMACアドレスは、無線LANや有線LANでは重要な役割を持つ。MACアドレスは48ビット長の識別子で、宛先や送信元を指定するのに使われている。

 MACアドレスには基本的に機器固有の値が使われており、世界中で一意になるように割り当てられている。まず前半24ビットが機器メーカーごとに割り当てられる。さらにメーカーは後半24ビットを機器ごとに重複しないよう割り当てるのだ。前半24ビットはOUI(Organizationally Unique Identifier)、後半24ビットはインターフェースIDと呼ばれる。

 機器ごとにユニークな値を取るというMACアドレスの特徴を生かし、MACアドレスを端末の認証などに使う企業は多い。ところが、MACアドレスによる認証がiOS 14だと通信できなくなる原因となり得るのだ。

 iOS 14では、実際に通信に使うMACアドレスとして、機器に割り当てられた固有の値ではなく、ランダムな値を使うのがデフォルトとなった。米Apple(アップル)はこれを「プライベートアドレス」と呼んでいる。その狙いはプライバシーやセキュリティーを強化することだ。

 iOS 14を搭載するiPhoneなどの端末は、実際に使うMACアドレスが登録されていない値を使うため、MACアドレスを認証に使っている企業では通信できなくなってしまう。実は同様の機能はAndroid 10/11にも搭載されている。日本国内ではiPhoneを使う企業が多いため、2020年9月にリリースされたiOS 14(またはiPadOS 14やwatchOS 7)をきっかけに、この問題が顕在化したとみられる。

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